まず気になるのは、自分の姿が相手にはどう映っているのかだろう。それには、双方が利用するハードウェアを確認しておくことが必要だ。
もし、相手が大きなモニター画面で見ているのなら、私たちが見慣れているTVの報道番組でアナウンサーが映っているサイズになる。それにならえば、バストショット(胸から上)より少し広いサイズで上半身が映るようにするのが自然だ。男性で言えば、ジャケットを着たときのVゾーン(第1ボタンが合わさる位置)までが映るよう意識しよう。
相手がノートサイズのパソコンなどで見ているのなら、それよりひと回り小さくしたバストショットがちょうどよい。さらに画面が小さいスマートホンなどでは、首から上のアップのサイズならば表情がわかりやすい。
間の取り方にも工夫を
角度に関する注意点もある。テーブルに置いたノートパソコンの内臓カメラは、顔が下から煽った角度で映る。話すときに目だけカメラの方向を見ていると、相手は見下ろされているように感じる。それを避けるには、話す側は顎を下げてカメラ方向を見れば良い。
モニターの映像を見ながら話していると、自然な会話の「間」が生まれにくい。さらに、やりとりが、3人以上になると、沈黙の間ができると画面の誰を見てよいのかわからなくなる。かといって間ができないように話そうとすると、ますます自然な間が取りにくくなる。
相手に考える時間などを与えるときは、「いかがですか? 少し考えてみましょう」とはっきりと会話に区切りを入れたほうがいいだろう。あるいは参加者が多いときは、あらかじめ、ホストになる仕切り役のファシリテーターなどを立てていればさらにベターだ。
オンラインだと、会話に割り込むのも難しい。リアルな会話では、話に割り込む際には、たいてい、そわそわしたり、周囲を見渡したりして自然と意思表示をしているものだ。オンラインで割り込みたいときは、自分の顔の近くで手を挙げるなど、目立つジェスチャーをすると、話に加わるときにスムースにいく。
相手に対しての慮りも大切
直接対面して会話をしているとき、わたしたちは言葉の意味だけでなく、相手の呼吸や微妙な表情の変化などから、相手が何を伝えようとしているのか頭で考えている。言語脳の左脳と、イメージ脳の右脳を同時に使い、論理と直観を働かせているのだ。
しかし、オンラインだと、言葉の意味だけが強調される傾向がある。初対面の人と、映像を介して大切な話をするのなら、十分このことに配慮をしたい。話の主旨だけでなく、「いかがでしょうか?」など、相手に対する慮りの言葉なども交えて会話を進めるべきだ。
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、ますます機会は増えているとは思うが、これからもオンラインでのコミュニケーションは、ビジネスでも普段の暮らしでも必要とされるにちがいない。そのためにも、相手を積極的に理解しようという熱意をもって自己革新的に工夫していきたい。
連載:表現力をよくするレシピ
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