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2020.04.22 22:00

ストレス下にある人は、事実よりも体験談や風聞に頼る

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人間は、どんなときでも鋭敏で正確な判断ができるわけではない。感情がたかぶっているときは、なおさらだ。そうしたときには、論理がどこかへ行ってしまい、事実以外の情報に頼ってしまうこともあるようだ。その証拠がほしいなら、新型コロナウイルスのパンデミックのさなかにあるいま、近所のスーパーマーケットでトイレットペーパーやパスタの棚を見るだけでいい。

学術誌「Organizational Behavior and Human Decision Processes(組織行動論と人間の意志決定プロセス)」に掲載された最新のメタ分析では、まさにその現象が検証されている。具体的に言えば、平穏な状況と、精神的なストレスを受けている状況では、体験談や風聞などの不確かな情報と事実のどちらを、どの程度頼りにするのか、という点が注目されている。

テキサス大学アーリントン校、ノースカロライナ大学、レバノン・アメリカン大学の研究チームは、意思決定を題材にした研究61件を検証し、さまざまな状況において好まれる情報のタイプを分析した。

その結果、通常の状況では、人は全体的に言えば事実に忠実で、体験談や風聞よりも事実をとることがわかった──これは何よりだ。

「脅威の深刻度が低いときや、問題が健康とは関係していないときには、人は、個人的な体験談や風聞よりも、厳然たる事実をとる傾向がある」と論文著者のトレイシー・フレリング(Traci Freling)は声明のなかで述べている。

だが、「感情の関与」が大きいとき──つまり、ストレスや脅威にさらされているときや、特に医療や個人に関わる問題があるときには、その戦略が変化した。事実への依存度が下がり、体験談的な、裏付けのない話に頼るようになったのだ。

「事実にもとづく情報よりも、個人的な体験談を考慮するケースが多くなることがわかった。とりわけ、医療に関する非常事態に対処しているときには、その傾向が強い」と、フレリングは説明している。「具体的には、健康に関する問題や、その個人に関する問題、大きな脅威となる問題があるときには、意思決定が危うくなり、風聞に頼る傾向があることがわかった……新型コロナウイルスの不安を誰もが抱えている現在の状況では、これはきわめて重要な知見だ」

冒頭で挙げたスーパーマーケットの例は、このことをよく表している。国内の家庭用品や食料の不足を示唆する事実はいっさいなかった。スーパーマーケットでの見かけ上の商品不足は、サプライチェーンの問題によるものではなく、パニックによる買い占めの産物だった。だが、多くの人はそうした状況を無視し、専門家のアドバイスや常識(「呼吸器系ウイルスが引き起こすパンデミックで、トイレットペーパーの使用量が増えるはずがないのでは?」)を顧みず、売り場に殺到した。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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