ウイルスは人々を、リアルなコミュニティの場から締め出してしまった。こうしてリアルな世界で孤立を余儀なくされた私たちは今、オンラインの世界でつながりを求めている。
ワシントン・ポストによると、アメリカでは卵の売れ行きが急に伸び、供給が追いついていないらしい。多くの人々が家で食べるためだけでなく、お絵描きや工作に飽きた子どもたちに料理を教えたり、自分でパンやケーキを焼くことで心を落ち着かせたりしているようだ。普段はあまり料理をしないようなお国柄の人たちでさえも、世界全体は「Eat at home」のための、「Cook at home」という傾向になっているといえるだろう。
クックパッドでも、海外のロックダウンや日本での休校措置がとられてからは、子どもたちと一緒に料理する様子が、「つくれぽ」(英語では「Cook Snaps」という)から多く見られる。
「つくれぽ」とは、クックパッドに投稿されているレシピをユーザーが実際につくり、その感想を写真付きで投稿するしくみのこと。例えば「おこもり生活で、4歳の子供といっしょにつくりました!」という投稿文に「#こどもと作れる」というハッシュタグをつけて、今の気持ちを送る。
ソーシャル・ディスタンシングの反動から、むしろ人とのつながりを強く求めるようになった人たちにとって、「つくれぽ」が料理を通じ、人と人をつなぐ大きな役割を果たしているのではないかと感じている。
有名シェフやパティシエたちも、ロックダウンでレストランやカフェを閉めざるをえず、「Stay at home」を余儀なくされ、「Cook at home」をやっている。
彼らはこれまで、馴染みの客を中心に、ある種クローズドなコミュニティの中で、自分たちのお客さんのためだけに料理の腕をふるってきた。インターネットはせいぜい、一部の人が自分のブランディングのために利用していたくらいで、レシピはけっしてオープンにしたがらなかった。ところが今回のコロナ危機をきっかけに、そんな彼らもInstagram、YouTube、TikTokなど、ネットを通じて自分たちの「Cook at home」を全世界に配信している人が注目し始めたのだ。