言葉を鵜呑みにしてはならない
インサイトは、我々の日々の暮らしでも、たいへんに役に立つ。そして、この考え方は、「人は本当にして欲しいことは言葉に出さないし、ときには自分自身でも明解には理解していない」という前提に立っている。
筆者が若い独身男性にインサイトを説明するときは、こんな風に説明している。
「女性を食事に誘ったときに、彼女が言う“何でもいいよ”という言葉を鵜呑みにしてはいけない。いろいろと質問を繰り返したり、彼女についてのさまざまな情報を駆使したりして、カジュアルイタリアンがいいのか、小奇麗な居酒屋がいいのか、正解を“発見”せよ」
これは何も、独身男性に限らない。夫婦の場合でも、夫から妻に対して、逆に妻から夫に対しても同様だろう。
あるいは、得意先のキーマンや厳しい上司との打合せでも、発せられる言葉だけを鵜呑みにしてはならない。チラシのデザイン案に対して「派手な赤とか」と言われたとき、「赤」の案だけ持っていっても喜ばれない。オレンジや黄色も検討する。ときに相手が本当に求めているものは、実は派手な色ではなく、インパクトのある写真かもしれないと考えてみたりする。
相手が本当に望んでいるものは何か? そこに思いをはせることを、インサイトは教えてくれる。ぜひ、役に立ててみては、いかがだろうか。
連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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