ビジネス

2020.04.09

noteで新メディアを開設 アソビシステムが目指す「次世代エンターテイメント」

(左)アソビシステム代表取締役社長の中川悠介 (右)note代表取締役CEOの加藤貞顕


中川:noteのユーザーは「良いものは良い」と純粋に言える人たちだと思うんです。だからこそ、文章が上手な人や、さまざまな知識を持っている人が書いた記事のアクセス数が伸び、活躍している。そういった人たちがいるプラットフォームで発信していけば、「かっこいい」「かわいい」「フォロワーが多い」といった理由だけではなく、タレントの根本にある思いを軸に、新しくファンになってもらえるかもしれない。

例えば、きゃりーぱみゅぱみゅの香水のプロデュースも本当に思いがあって作るものだったので、単純にタレントプロデュースの香水として発信するのではなく、なぜ香水をつくったのか。その裏側にある思いを伝える場所が必要だと思ったんです。


きゃりーぱみゅぱみゅさんのnoteより

僕はタレントひとり一人がクリエイターだと思っています。タレントは着せ替え人形ではない。個々のタレントが持っている考え、好きなことがあって今の活動があると思うので、そこをきちんと伝えいくことが大切だな、と思います。そして、それを伝える場所としてnoteが最も適していると感じています。

エンターテイメント業界はファンビジネスの一面もありますが、noteと一緒ならファンビジネス以外の部分で面白いことができる気がします。

ホームページに情報を載せるだけの時代は終わり


加藤:noteはたくさんのクリエイターが使ってくれているサービスなので、そもそもタレントとの相性は良いと思っています。今回、アソビシステムに所属するタレントがそれぞれアカウントを開設すると同時に、noteのコンテンツをまとめてメディアにする機能「note media」を使って新しくメディアも立ち上げる。それを使うとアソビシステムなら全体としてプロモーションや企画のほか、メディアとしてのマネジメントもできるので、芸能プロダクションにとってたくさんのメリットがあるんじゃないかと思います。

中川:ホームページにタレントの情報だけ載せていても、なかなか伝わりづらい。プロフィール見て知ってもらえる情報は出身地、年齢、出演作品くらい。根底にある思いまでは知ってもらえない。だからこそ、noteを活用する意味があります。SNSとはまた違う形で発信力の強さを伝えていきやすい場所だと思っています。

例えば、とあるアイドルグループのホームページを見て、活動内容やどんなメンバーがいるかは分かるかもしれないですが、どういうストーリーで出来上がったグループなのかは分かりづらい。その部分をnoteで発信していくと、既存ファンはさらに好きになってくれるし、今までアイドルグループを知らなかった人にも面白いと思ってもらえるかもしれない。

また、クライアントは、背景情報を知った上でタレントを起用するかどうかを決めるはず。このタレントはどんな人で、今何が好きなのか、どんなことを思っているのか。SNSが発展し、ウソをつけない時代になっているからこそ、広告を通して一方的に伝えるのではなく、ストーリーを通して伝える。コンテンツを創り出して、発信していくことに意味があると思います。


新メディア「ASOBISYSTEM by note」のイメージ

noteも更新回数を追って強制的に毎日書かせるものではないですし、それよりは熱量を持って伝えられることを自分のペースで書いていくことが大事。アソビシステムとしてアドバイスもしますし、マネージャーもサポートしますが、それ以上に個々の気持ちが重要なので、プロフィールつくって1年後に書き始めるタレントもいるかもしれませんが、それならそれでいい。SNSも含めてタレント本人の想いを、より分かりやすく伝えるのが何より大切です。

そういった意味で、この業界はより一層、本物の時代になってくると思います。その時代に向けてタレントを導くことが、僕たちが担うべき役割だという理念は、昔も今も変わっていません。
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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