これほど単純な方法で便通が改善するのなら、便秘に苦しむ人々には朗報といえるだろう。もちろん、必ずDPMDで使わなければならないわけではない。しゃがんだ姿勢になるように上げた足を置いておくものがあればいいのだから、たとえば古雑誌の束でも構わない。ただしヨガをやるわけではないから、足を上げるときに体のバランスを崩さない工夫はしたほうがいい。
27パーセントが悩んでいる?
便秘のことは、人前では話しづらい。恥ずかしいし、場にふさわしい話題ではないように思えてしまう。だから、果たしてどれぐらいの人が人知れず苦しんでいるのか把握するのは容易ではない。慢性的な便秘に悩まされている人の数は、研究によって全人口の2パーセントから27パーセントまでと差があり、その違いは「慢性的」をどう解釈するかにかかっている。とはいえ、人間の基本的な生理機能についておおっぴらに話し合えなければ、様々な面で害が生じることにもなるだろう。
「大」の時、足はどこに置いているか?
体にとって、便秘は決して些細な問題ではない。不快な残便感があるし、腹痛の原因にもなる。トイレに入ると、「さあ来い、おまえならできる!」とか「もうちょっと、あともうちょっとだから!」などと、思わず独り言をつぶやくようになる。
宇宙に飛び出さんばかりにいきんで切れ痔になったり、便器から転げ落ちたりすることだってある。排便とは体内のゴミを排出することなのだから、それがうまくいかなければゴミが体に溜まることになる。適切な排便ができないと、便秘以外にも様々な健康上の問題が生じる。たとえば倦怠感をもたらすこともある。便秘が長びくと便が凝縮して石のようにかちんかちんの宿便になる。それが大きくなると、いわゆる「糞詰まり」という危険な状態になる。
便秘薬という手もあるが、これは長い目で見ればあまり好ましくない。腸の動きを乱し、腸そのものを痛めてしまう副作用があり、脱水症状を引き起こすこともあるからだ。ほかの薬との相互作用で依存性が生じることもある。食物繊維を多く含む食品を食べたり、水分の摂取量を増やしたりすると便がゆるくなることもある。運動で腸の動きを活発にすることも有効な解決法だ。しかし、どちらも常に効くわけではない。
というわけで、DPMD、もしくは踏み台を使うだけでいいこのやり方は、正しい便秘解消法への最初の一歩なのかもしれない。