経済・社会

2020.04.10 07:00

これから来る危機「日本人が真剣にとるべき行動」


──『文明崩壊』では、社会崩壊と環境破壊が論じられています。「世界的な気候変動」は人類史の中で、どのような位置づけになりますか。
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『文明崩壊』では、カンボジアのクメール王朝や、メキシコとグアテマラのマヤ文明の崩壊などを取り上げたが、そうした崩壊は局地的影響にとどまっていた。だが、グローバル化で人の流れやコミュニケーションが一つになり、一国が崩壊すると、その影響が他国に及ぶようになった。いまや私たちは、世界規模の崩壊リスクに直面している。

気候変動は1万年前から見られた。クメール帝国崩壊の一因はモンスーン気候の変化にあり、グリーンランドのバイキング消滅は寒冷化にあった。だが、当時は気候変動が局地的影響で済んでいたのに対し、現在では世界的規模に達している。温暖化が過去何百万年において最も速いペースで進んでおり、オーストラリアやカリフォルニアの山火事など、あらゆる国に影響が及んでいる。

──教授は『危機と人類』の中で、日本は天然資源の輸入に頼っているにもかかわらず、世界の漁業・森林資源を守ろうとしていないと批判しています。
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まず断っておきたいが、米国人が日本の環境政策を批判したら、怒る日本人がいても当然だ。米現政権の環境政策は日本よりひどいからだ。

とはいえ、日本には特徴的な点がいくつかある。日本は海産物や林産品の輸入大国だ。国内の森林はうまく管理する一方で、他国の森林資源を輸入している。つまり、世界の森林資源の持続可能性に貢献していないのだ。海産物も同様だ。私は世界自然保護基金(米国支部)理事会のメンバーとして、さまざまな国の世界資源管理政策に通じている。

例えば、日本では地中海産クロマグロの人気が高い。そのため、日本政府は率先して持続可能な漁獲管理・割当に乗り出すかと思いきや、実態は逆だ。(2010年、「ワシントン条約」締約国会議で)こうした提案が行われたとき、日本は合意阻止に回った。クロマグロが乱獲され、森林が乱開発されたら、真っ先に困るのは日本だ。日本政府は、世界の天然資源問題を解決する主唱者であるべきだ。
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インタビュー=肥田美佐子

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