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外部環境が激しく変わり、プロダクトやサービスのライフサイクルがどんどん短命になる現代では、より早く、より多く新たなビジネスを生み出す組織・人材が必要とされる。イノベーションとは何か? そして継続的に新規事業を創出する企業に共通する「科学」とは。

※本稿は、田所雅之『御社の新規事業はなぜ失敗するのか?』(光文社新書)の一部を再編集したものです。


現状を正確に把握する


外部環境においてどのような変化が起きているか。これからどんな方向に社会が変化していくか。そうしたトレンドを大まかに掴むことは、未来を構想するために必須である。

「外的環境の変化」を察知していくためには、具体的にどんなことに注意していくべきなのだろうか。そこではいわゆるPEST分析が一つの有効な手段になるだろう。

PEST分析とは、政治(Politics)、経済(Economics)、社会(Society)、技術(Technology)の頭文字をとったもので、事業環境を分析する際のフレームワークの一つである。それぞれについて簡単に説明しよう。

Politics(政治、規制、国際情勢)


法改正や条例制定・変更など政治に関係した動向はどうなっているか? たとえば、特定の市場において規制が緩和されるような動きはないか? 逆に、規制が厳しくなるようなリスクはないか? それらの変更により、マーケットにはどのような需要が生まれるのか?

これらは市場のルールそのものを変える典型的な要素であり、イノベーション云々以前にまず押さえることが欠かせない。法改正などに向けた動きは、ある程度リサーチすれば比較的簡単に把握できるし、少なくとも現時点で、自分たちの業界を取り巻く規制を知っておくことは大前提になる。

逆説的であるが、「規制が強い業界」のほうが、チャンスが大きい。「規制が強い」ということは、ユーザーは、「悪いUX」を強いられている場合が多い(多くの書類提出、わかりにくいプロセス、規制対応など)。

そこを抜本的に改善するUXを提供することができれば、一気に市場を席巻できる糸口を掴める。たとえばSmartHRなどは、まさに、規制が強く、さまざまな書類が必要な人事労務業務に対して、最適なユーザー体験を提供し、PMFを果たし、大型調達して、急成長している。

また、業界によっては法整備が現実に追いついておらず、「未法」状態のまま放置されているような領域がある。その場合には、自分たちでルールそのものをつくっていく余地すらあるかもしれない。一定の余剰価値を生み出せるようになったスタートアップ企業に対しては、私はある程度のロビー活動を行っていくことも勧めている。たとえば、コンソーシアム/協会のような「横のつながり」をつくって、政治に対して働きかけを行っていくことも、場合によっては検討するべきだろう。

Economics(経済、消費動向、所得の変化)


マクロ経済の動向はどうなっているか? 人々の所得はどう変化しているか? 消費スタイルはどう変わるか? 要するに、顧客を取り巻く経済状況がどのようになりそうかを理解しておく必要がある。これは、ユーザーの「買い方」や業界のバリューチェーンのあり方に大きな影響をもたらすからだ。

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