ビジネス

2020.04.16

「PEST分析」がビジネスの説得力を高める。成功企業に共通する4つのポイント

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たとえば、「所有型」から「利用型」への消費スタイルのシフト。かつては一家に1台の車を「所有」するのが一般的だったが、カーシェアリングや配車サービスのように、必要なときに必要な機能を「利用」するかたちにお金の使い方が変化している。

サブスクリプション(定額課金)型のビジネスも、このようなトレンドのなかで理解されるべきだろう。音楽業界やビデオコンテンツ業界は、すでに、「買い切り型」よりも「ストリーミング配信型」のシェアが高くなった(音楽はSpotify、ビデオコンテンツはNetflixが代表格だ)。

ソニーも一定タイトルのゲームを上限なく楽しめるPlayStation Plusという定額サービスを開始している。このように、業界の古株や大手も、このサブスクリプションモデルに参入することでトレンドはますます加速し、ありとあらゆる業界に広がっていくだろう。

このようなエコノミーが一般化すると、企業と顧客との関係性にどのような変化が生まれるだろうか? おそらく、「商品を売ってそれで終わり」という従来のビジネススタイルは、しだいに廃れていくだろう。むしろ、これからは「売れたあとの世界」が大事になってくる。

顧客と継続的につながるなかで、どんなバリューを購入後にも継続して提供していくかという視点が不可欠になる。

Society(社会、人口動態、人の嗜好性/価値観の変化)


人口動態の変化は、市場に最も影響を及ぼす要素の一つであり、比較的、高い精度で予測できる。5年後、10年後には、各世代の人口比率はどうなっているのか? 家族構成は、どう変化するか? これは政府機関が出しているオープンデータに当たれば、簡単に調べがつくことである。

社会についてもう一つ押さえておくべきなのが、人々の嗜好性である。これは人間の需要構造にダイレクトに影響する。たとえば、先進国を中心にして、人々の健康(Well-being)に対する意識は大きな高まりを見せている。それに伴って、喫煙率はどのように変化してきたか? 今後、新興国でも同じような動きが出てくるとすると、どんなビジネスチャンスがあるだろうか?

あるいは、環境に対する意識なども、価値観の変化の一つと言えるだろう。SDGsが注目されサステナビリティが重視される現代のような時代では、地球環境に著しい負荷をかけるビジネスモデルは社会に歓迎されないし、実際に継続していくことは難しい。

Technology(技術)


テクノロジーの動向を理解するために、テクノロジーを成り立たせている原理原則やその歴史を理解することを心がけるべきだ。またその技術には何ができて、何ができないのかを大づかみでいいので知っておくようにする(現時点、3年後、5年後、10年後の実用可能性の範囲)。

たとえば、「AI(人工知能)が人々の仕事を奪う」というような言説を前にして思考停止に陥ってはいないだろうか? 人工知能は決して「全知全能の神」のようなものではない。汎用的人工知能は少し先の未来でないと実装ができないと言われるように、人工知能は現在何ができるのか、今後5〜10年で何ができるようになり、何ができないのかはわかるはずだ。そのうえで、自分たちのビジネスにはどんな活用の余地があるのか、逆に、どの部分では強みを維持していけるのかといったことを検討していく必要がある。

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