元榮:エアビーアンドビー以外に、アメリカにはどんなサービスがあったのですか?
重松:エアビーアンドビーの会議室版のようなサービスが、当時すでに何社かあって、割とヒットしていました。でも、そのなかでは、まだ上場した会社はないんですよ。
元榮:では、スペースマーケットが世界で初めて? すごいですね。
重松:はい、先んじてしまいました。
元榮:先ほど、10数年前と現在では環境が違うという話がありましたけれども、2020年現在、起業するにあたって気をつけるポイントなどはありますか?
重松:起業の難易度はこれから上がっていくと思います。だから、できるだけ早く起業することです。具体的には、2020年以前は、資金環境が良かったので調達もしやすい状況でした。でも、これからはシビアになっていきます。お金の出し手はいるのですが、厳しくなる。ですから、バリュエーションの付け方も、あまり高く付け過ぎると詰んでしまう。
たとえば、新型コロナウイルスのように、天災や思いもよらない出来事が何か起こるんです、間違いなく。そういったときに耐えられなくなってしまうのではないかと思うんです。なので、資金調達周りは気をつけたほうがいいと思います。
元榮:僕も同じ考えです。2008年のリーマンショック以来、景気が回復してきて、その環境が10年以上も続いた。しかし、こんな環境がずっと続くはずもないんです。何が起こっても不思議ではない。そうすると、世界全体が資金に対してかなり保守的な運用をするようになる。
それに加えて、昨今のWeWork(ウィーワーク)やウーバーのように、ブリッツスケーリングモデル(ベンチャーキャピタルによる投資戦略のひとつ。少数のスタートアップに狙いを定めて多額の資金を投じ、圧倒的なスピードでの規模拡大を狙う)に対する見直しも図られていますから、あまり高いバリュエーションは付けてもらいにくくなってきている。そういう意味では、選別の時代に入ってきていると思います。
起業を取り巻く環境は難易度が上がっていき、状況によっては、どこかのタイミングで一気にハードルが高くなってしまうかもしれません。やはり、思い立ったら吉日で、本当にいまやりたいと思うなら、1日でも早く動くのがよいと思います。
(「第2回」に続く)
重松大輔(しげまつ・だいすけ)◎1976年千葉県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、2000年にNTT東日本入社。主に法人営業企画、プロモーションなどを担当。2006年、株式会社フォトクリエイトに参画。一貫して新規事業、広報、採用に従事。国内外企業とのアライアンス実績多数。2013年7月に同社で東証マザーズ上場を経験する。2014年1月、株式会社スペースマーケットを創業。2016年1月、シェアリングエコノミーの普及と業界の健全な発展を目指す一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し代表理事に就任。
スペースマーケット◎貸し会議室から球場までレンタルスペースを簡単に貸し借りできるサービス「スペースマーケット」を運営。2014年1月、重松大輔と鈴木真一郎によって創業された。