経済・社会

2020.03.31 07:00

世界で新型コロナ封じ込めは急務。効果的なワクチンの見通しは?


ワクチン開発だけでなく公衆衛生上の対応を


衛生上の課題や経済的影響が壊滅的になる可能性がある一方で、政治的な影響はさらに予見が難しくなっていますが、今までにないほど影響が長引く恐れがあります。

日本では、クルーズ船での新型コロナウイルスの集団感染への対応により国内の感染者が増加し、東京オリンピックは延期となりました。

イランのような国では、国の医療制度の手ぬるい対応により、感染拡大の封じ込めの機会を逸し、ウイルスが中東の他の国々にも広まっています。北イタリアの各自治体の封鎖は遅きに失し、ヨーロッパ全体にイタリアからウイルスが拡散。市民を守るという基本的な責務を果たせなかった政治家を、今後も有権者は支持するのでしょうか。

私たちは、目前に広がる課題の規模を偽りなく評価する必要があります。すべてがうまくいけば数週間のうちに初めてのワクチンの臨床試験が行われる可能性もありますが、それはとても楽観的なタイムスケールです。安全で効果的なワクチンが、製造ラインに乗るのは数か月から数年先の2021年以降とみられています。感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)のリチャード・ハチェット氏が、2019年の記事でくり返し述べたアドバイスのように、統合的な対応、すなわちワクチンの開発だけではない、治療薬や治療法を含む公衆衛生上の対応が必要です。

2月末時点では、中国でのウイルスの遺伝子構造に変化は見られていません。このことは1年以内に効果的なワクチンが生まれ、流通する可能性を示す良い兆しです。それまで、私たちは警戒を続け、拡散をコントロールできるよう準備していかなければなりません。

新型コロナウイルスは感染拡大が一層加速してしまう可能性もありますが、少なくとも、中国の現在の状況が示すように封じ込めることは可能です。アフリカでは、WHOが支援を行い、検査(発生前のゼロの状態から)を行う研究所を35か国で40か所立ち上げました。このことは各国での早期発見と早期のコントロールにつながるでしょう。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=John Scott, Head of Sustainability Risk, Zurich Insurance Group

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