テクノロジー

2020.04.01 10:00

掃除ロボットが収集するデータも活用。アイロボットが目指す「スマートホーム構想」とは?


──vSLAMでは、ビジュアルセンサーの性能はどのような意味を持つのでしょうか?

ビジュアルセンサーは、カメラで明暗差を認識するものです。明暗差がはっきりわかれば、より精密なマッピングが可能になります。ビジュアルセンサーは毎秒23万400データポイント以上、3Dセンサーは毎秒20データポイント以上のスキャニングを行うため、ルンバ s9+には高い演算能力を持つ1.3GHz駆動のクアッドコアプロセッサーを採用しました。また、部品ひとつひとつを意図的に、慎重に選ぶことも、製品性能の向上には欠かせません。

角や壁がどこにあるか、障害物があるのかないのかを認知し、特定することがルンバにとって大変重要な意味を持ちます。それらのデータをスピーディーに処理することで、スマートな清掃を実現させています。



──ソフトウェア・アップデートによって進化することも、ルンバ s9+の特徴ですね。

ルンバを購入時のままで止まらせるのではなく、将来にわたって進化させたいと考えています。ルンバ s9+では今まで親しまれてきた円型の形を変えた先進的なハードウェアを導入したことが注目されがちですが、クラウドを活用したアップデート式のソフトウェアを採用したことも大きな変化のひとつです。今後、ソフトウェアは随時進化させていきます。現在の状態が最終ゴールではありません。

──製品開発を行っている欧米と日本では、住宅や暮らし方に異なる点が多いと思います。ルンバ s9+を日本で販売するにあたり、特別な配慮などはあったのでしょうか。

国によって暮らし方は違いますが、どこの国の家も散らかっていることは確かです(笑)。どんな環境であっても、家中を清掃して最後に充電用ステーションまで戻ってくるというミッションは変わらないため、基本的な仕様は変わりません。

ただし、日本市場を想定した改良として、日本の消費者は水洗いできることを重視するため、ダスト容器にハンドルを付けて取り外しやすく、洗いやすくしました。また、ルンバ s9+は“ビースト(野獣)”と呼ばれるほど吸引力の強いモデルですが、動作音についても多くの意見をいただいたため、静音モードを含む3段階の動作レベルを用意しています。


ダスト容器を取り外して丸洗いできるようにしたのは、日本市場の要望を強く反映した結果だという
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取材・執筆=海上忍 写真=君嶋 寛慶

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