ドクター本荘の「垣根を越える力」

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新型コロナウイルスによる「コロナショック」は、起業家にとって大ピンチとの声がありますが、この難局をきっかけとして、新たな展開に挑戦している会社も少なからずあるようです。

筆者は2〜3年前から、「好況が続くという予測は楽観的で、経営はマクロ環境の激変を前提に考えるべし」と、起業家コミュニティを相手に説いてきましたが、さすがに、このコロナショックは想像を超えるものがありました。

あらゆる国で、外食、旅行、イベントなどがほぼ停止状態となり、中国では2月だけで30社以上の上場企業が倒産したとか聞きます。日本のインバウンド関係やプロスポーツや一部のエンタテインメント業界など売上が急減の分野では、リーマン・ショック時以上の危機でしょう。

多くの人々、国、業界が、先が見えない事態に陥っています。そんな中で参考にできる動きはないか。海外のスタートアップと新事業にヒントがありそうです。

危機に備えるシリコンバレー


すでにシリコンバレーでは、ベンチャーキャピタルがスタートアップに提示したタームシート(投資の条件を書いたもの)を引っ込める事案が続出し、ベンチャー投資は冷え込む様相を見せています。

例えば、サンフランシスコの「ブルペン・キャピタル」は3月12日、投資先のCEOに向け、「危機に備えよ」というメールを出しました。「われわれはいつでも相談に乗るが、資金調達が凍結されても生き残れるよう、厳しい意思決定をして、事業計画を作り直せ」という内容です。

筆者はリーマン・ショックの直後、東京のベンチャー系イベントで、起業家たちの認識の甘さに危機感を覚え、「バーンレート(資金燃焼率)を大幅に下げ、いまあるキャッシュで生き残れるよう転換しないとツブれる」と警告しましたが、そのときの状況を思い出します。

このような危機にどう行動するかは、ブランドに対する信頼にも影響します。アメリカでは、事業会社からアクセラレーターまで、いち早くさまざまな行動をとっています。

例えばアマゾンは、衛生用品の高額転売を厳しく取り締まり、1万7700本の手指消毒剤を買い占めたある兄弟の出品をいち早くキャンセル。他のサイトも同様の措置を取ったため、結局、この兄弟は消毒剤を売れなくなり、病院や教会などに寄付をしました。

スタートアップ界隈では、業界に強い調査会社のCB Insightsが、「新規の投資をする気がないベンチャーキャピタルはそのように意思表明すべきだ。もし、新規も歓迎と言っておいて投資しないなら、われわれが調べることは簡単だ」と警告。アクセラレーターの「ファウンダー・インスティテュート」は、起業家/CEOが従業員に出すメールの詳細な雛形を配布し、危機への対応を支援しています。

つまり、スタートアップのエコシステムを健全に保つよう、皆で協力し合って、努力しているのです。これは、日本も見習える点ではないでしょうか。

文=本荘修二

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