ビジネス

2020.03.19

世界最大のSNS、フェイスブックを支えるデザイナーの仕事論

これまで組織におけるDesignOpsに関してデザインリーダーたちに取材をしてきたが、今回はフェイスブックの中の人、FacebookメッセンジャーのプロダクトデザイナーであるAlice Chuangさんにインタビューした。

アメリカのテック企業の多くが“デザイナーチーム”を個別に編成し独自の情報発信ツールを持ち発信しているが、フェイスブックも「FACEBOOK Design」というメディアを運営する。

FACEBOOK Designでは、デザイナーによる情報発信もさることながら、世界中のデザイナーにとって有益なリソースを多く発信している。フェイスブックがOrigami Studioと呼ばれる独自のプロトタイピングツールを公開しているのは有名だが、それ以外にもGUI部品からVRのプロトタイピングキットまで、様々なデザイナー向けの素材がFACEBOOK Designから提供されている。しかもありがたいことに、これらは全て無料で使うことができる。

そんなデザイン先進企業であるフェイスブックで働くということや、これからのデザイナーに必要なことなどを聞いた。


Alice Chuang◎Facebook Messenger シニアプロダクトデザイナー。Facebook Messengerのチームのデザイナー。ヒューマンインターフェイスチームでは、デザインシステムの維持に貢献。

──プロダクトデザイナーになったきっかけと、フェイスブックに行き着いた経緯を教えてください。

学生時代私は英語と映画を専攻していました。劇団に所属し、芝居のポスター制作などもしていました。そのおかげでAdobe Photoshopを使いこなせるようになりました。しかし大学卒業後に仕事を見つけるのに本当に苦労しました。専攻していた映画関係の仕事につくのは難しかったからです。

Photoshopが使えたので、子供たちに夏休みのキャンプで教えたり、小さなゲームを作ったりしていました。その後友人の紹介もあり、アプリのプロダクトデザインの経験を積み、Google Play for Educationチームに入りました。

グーグルでは、世界中のさまざまな学校で使用されているコンテンツ管理と購入フローの合理化を担当しました。WebおよびAndroidタブレットでのフローをプロトタイプ化し、Material Design(グーグルが構築したUIデザインフレームワーク)のアプリアイコンをデザインしました。

その後、友人と一緒にボストンのヘルスケアスタートアップで仕事をしました。私は、心臓病と診断された高齢患者向けのアプリをデザインしました。患者とその世話をする人が毎日使用するWeb・モバイルでのコミュニケーションツールです。

このヘルスケアアプリは65歳以上の人を対象としているため、プロセスのすべてのステップで、彼らに本当に必要なUIを作らなくてはいけませんでした。そのため私の両親の年代の人々へのユーザーテストもしました。これは今の仕事にも役に立つ経験になりました。

カリフォルニアへ来たのは、私の婚約者がアップルでiOS開発者の仕事を得たからです。幸運なことに私はボストンでテック企業で働いていたので、シリコンバレーでもアップルとフェイスブックでインタビューを受け、オファーを貰いました。これまでのキャリアや企業カルチャーを考慮して、フェイスブックへの道を決めたのです。
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文=リー・コーリー

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