中国経済の成長率は金融危機以降で最低となる見通し(イメージ: Reuters)
中国からの供給不足により世界全体で生産が落ち込んでおり、自動車業界への影響は中国の国境を越えて波及しています。
現代自動車(Hyundai Motor)と起亜自動車(Kia Motors)はこのほど、韓国の組み立てラインのいくつかを停止しました。日産も、日本での自動車生産を停止する予定であることを明らかにしました。ゼネラルモーターズは、生産停止によりミシガンとテキサスの工場に影響が及ぶ可能性を示唆。ジャガー・ランドローバーは、新型コロナウイルスの影響で、英国の組み立て工場に問題が起こり得ると警鐘を鳴らしており、フィアット・クライスラー・オートモービルズのマイク・マンリー最高経営責任者(CEO)は、欧州工場のひとつが2月末までに生産を停止する可能性があるとコメントしています。
巻き返しを図る自動車メーカー
新型コロナウイルスの影響に対して、多くの自動車会社は業務に復帰するための解決策を模索しています。
従来型の販売代理店における客足の激減を受け、一部の自動車メーカーがデジタルを利用した解決策に転じているのは、その一例です。
創業当初よりオンライン・ツー・オフライン(O2O)をビジネスモデルとしているNIO、シャオペンといった新興の自動車会社以外にも、フォルクスワーゲン、日産、SAIC、BMWといった伝統的な自動車ブランドの多くが、VR(仮想現実)やライブ放送などの販売促進ツールを活用した自動車のオンライン販売に乗り出しました。
自動車メーカーの上汽通用五菱汽車(SGMW)は、深刻なマスク不足に対応するため、独自にマスクを生産すると発表しました。マスクは呼吸を介したウイルス感染の防止に役立ちます。SGMWは内部パーツのサプライヤーである広西徳福特集団と協力し、広西チワン族自治区にマスクの生産体制を設置。医療用マスクおよびN95マスクのための14の新しい生産ラインで、1日当たり170万枚を生産する計画です。SGMWの最初のロットとなる20万枚のマスクが、2月9日に完成しています。
また、自動車メーカーのBYDと広州汽車集団乗用車(GAC Motor Co.)も、自社工場でマスクと消毒薬を生産することを発表しました。BYDの生産能力は、1日当たりマスクが500万枚、消毒薬が5万本と見込まれており、最初のロットが公共バス、タクシー、ライドサービスの運転手や、流行の拡大阻止に取り組んでいるボランティアに寄贈されています。
企業の営業再開に伴い、自動車市場の伸びが急加速する可能性もありますが、通常レベルに回復するには時間がかかると思われます。新型コロナウイルスの大流行が業界の統合と変革に拍車をかけることは、間違いなさそうです。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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