経済・社会

2020.03.13 12:00

東大大学院のエリートも。「コンビニ外国人店員」の意外なる素顔

Getty Images

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コンビニのカウンターで外国人店員を見て、一瞬、戸惑う───そんな感情はもはや昔のものだと言っていいだろう。都心などではむしろ日本人だけの店の方が珍しいくらいになっている。

単にモノを売るだけではなく、チケットの発券、宅配便の受け取り等々、日本人でも複雑に感じる業務を手際よくこなしていく外国人店員たち。毎日のようにお目にかかるのに、その素顔を知る機会は少ない。

「どんな人たちで、何を考えているのだろう」

そんな素朴な疑問から、コンビニで働く外国人たちへの取材を重ねたルポが『コンビニ外国人』(新潮社刊、芹澤健介著)。

さまざまな国から来日して働く外国人たちの本音や生活ぶりが描かれている同書から、「超エリート」とも言うべき「コンビニ外国人」の素顔を紹介しよう(以下、『コンビニ外国人』から抜粋・引用)。


転載元:デイリー新潮編集部/新潮社


レー・タイ・アイン君(24)は、現在、東京大学の大学院に通っている。全国で6万人を超すベトナム人留学生の中ではトップクラスのエリートだ。

「学際情報学府で経済を中心に学んでいます」と言う。

学際情報学府というのは、東大の中でも比較的新しい組織で、文字通り学部という垣根を越えた学際的な研究を進めている。

アイン君の日本語レベルはN1(同時通訳ができるレベル)。TOEICは900点台を誇る優秀な学生だ。

高校はベトナムでも珍しい日本語文化学部を擁するハノイ国家大学外国語大学付属高校。ベトナム全土でも超難関校として知られる英才教育校である。


Shutterstock(イメージ画像)

成績優秀だったアイン君は、高校生のときに1度、交換留学生として日本に短期留学した。

バイト先は「ローソン」


「10カ月間、広島の高校に通いました。広島市街ではなく地方の高校だったので、最初は『日本にもこんな田舎があるんだ!』と驚きましたが、同時にほっとしたのを覚えています。その10カ月は、のんびり楽しく過ごすことができました」

この経験から日本への憧れはますます強くなったという。そして日本の大学に進むことを決意。母国の国立大学にも合格したが半年で退学して来日。最初の1年弱は高田馬場の日本語学校に通った。

それと同時に寝る間を惜しんで大学の受験勉強もはじめ、来日から1年足らずで中央大学経済学部に合格。昨年3月に卒業した。

この間、日本語学校時代と学部生時代の約5年、彼はコンビニでアルバイトをしている。

「お店は何店舗か変わりましたが、ぜんぶローソンです」

アイン君はローソンの奨学生だったのだ。

ローソンは現在、ホーチミン市とハノイ市に独自の研修施設を作っているが、2009年よりベトナム人留学生を対象に奨学金制度をはじめた。奨学金支給の規定には「ローソンでアルバイトすること」という項目があるので、ほかのコンビニで働いたことはないという。

毎月の給付額は13万円。支給型なので返済義務はない。バイトで稼いだ分はそのまま自分のものになる。

最初に働いたのは品川駅近くのローソン。2、3カ月経つと仕事にも慣れたという。

「難しかったのは宅配便の受付です。最初は、日本人の書く字があまり読めなかった。とくに漢字が読みづらかったですね」


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転載元:デイリー新潮編集部/新潮社

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