年収1億円超 異色のサラリーマン・motoの逆算的なキャリア戦略


サラリーマンに求められる、自分を「商品として捉える」視点


───ホームセンター入社後は、描いていた通りのキャリアを歩むことができたのでしょうか。

「4年制大学を出た友人よりも、市場価値の高い人材になる」という目標を達成した意味で、描いていたキャリアになったと思います。入社から1年半ほど勤務し人材業界に転職をしたのですが、その当時のオファー年収は330万円。大卒1年目の初任給より高い給料をもらえたので、最初の目標がクリアできました。

───小売業界からの異業種転職、また年収アップをするためにどのようなことをされていたのでしょうか?

シンプルに「お店の売上を上げること」にこだわりました。どうやって売上と利益を最大化するか、自分はそこにどう貢献するかを考えて行動し続けていましたね。

転機になったのは、仕事の成果が認められ、新卒採用のリーダーを任せてもらったこと。「東大生を10人採用してほしい」などと無茶な注文をされたのですが(笑)、何かしらの成果は出さないといけません。

そこで、採用広報の一環としてブログを始めたんです。僕が採用担当者の視点で、エントリーシートにどのように書けばいいのか、面接でどう答えるべきかを紹介していました。すると、そのブログが予想外に大ヒットしたんです。「Yahoo!ニュース」にも取り上げられ、多くの就活生が見るメディアになりました。

そのブログがきっかけで転職のオファーをいただき、人材業界へ足を踏み入れ、まったく畑の違う営業職としてキャリアチェンジ。結局、何がターニングポイントになったかといえば、「目の前の仕事で成果を出す」ことにこだわったことだったと思います。

───その後、数回の転職を経て、年収が1000万円を超えていらっしゃいます。市場価値を高める転職は、どのような視点を持ち、どう行動すればよいのでしょうか。

市場価値を高めるには、自分を「商品」として捉えることが重要です。この考え方は、就職活動中に身に着けました。

当時は「短大だから」という理由で、そもそも面接を受けさせてもらえないことが多々あったのですが、「僕を採用したらこんな価値を提供できる」「御社のここに課題があると思うので、こういう提案をさせてほしい」と面接で提案する形にしたところ、大手企業から内定をもらえるようになったのです。これがきっかけで、「自分を商品としてどう売り込むか?」を考えるようになりました。

この考え方は今も変わっておらず、転職活動においても大切にしています。日々の仕事で成果にこだわり、その過程で得た経験をセールスポイントにして、企業に自分を売り込むんです。

また、企業の看板に頼らない、という視点も大切にしてきました。リクルートで働いていた当時、幅広く事業に携わらせていただきましたが、やはり「リクルート」という看板で仕事をしている感覚が強くありました。この仕事の結果は「自分の力で出した成果」なのか「リクルートの看板があったからこその成果」なのか分からず、危機感を覚えたんです。

当時は新卒の学生も「大手企業志向」から「ベンチャー志向」に移り変わっているタイミング。もし企業の看板だけで勝負していたら、いつか抜かされてしまうと感じたので、リクルートを退職してスタートアップに転職しました。

───副業を始められた背景にも、そうした危機感が関係しているのでしょうか?

そうですね。副業やSNSを開始したのも、スタートアップに転職した時期。「個人としてどう戦っていくか」を本気で考え始めたことが、きっかけになっています。
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文=小原光史 写真=小田駿一

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