新薬の開発現場でもAIは有効
AIの活躍が期待されるのは、病気の診断プロセスにおいてだけではない。Longevity Vision Fundの創業者であるSergey Youngによると、AIは今後、ワクチンや治療法の開発においても重要な役割を果たすようになるという。
「AIは、既存の薬のデータベースを迅速に検索し、効果が期待できる既存薬を探し出したり、数カ月で新薬を開発することが可能だ。例えば、我々の投資先企業であるInsilico Medicineは、AIを使った創薬を専門としている。同社は、AIシステムを使ってわずか4日でコロナウィルスの治療薬に使えそうな分子を数千も発見した。AIの持つスピードとスケールは、治験やワクチン開発のプロセスをスピードアップする上で必要不可欠だ」とYoungは話す。
Youngは、社会がAIをさらに受け入れれば、医療分野でさらに大きな役割を果たすようになると考えている。中国の都市部では広場にロボットを設置し、マスクをしていない通行人に警告するといったことまでしている。また、農村部でのコロナウィルスの感染拡大を防ぐため、ドローンを飛ばして住人が家から出ないよう見張っているとの報道もある。
疾病のアウトブレイクをいち早く検知したり、治療法を開発するのにAIが重要な役割を果たすことは間違いない。BlueDotやNanoxなどの企業が感染症の大流行を防ぐことに貢献することで、AIの威力が証明されることになるだろう。