上海証券取引所と深セン証券取引所に上場されている全A株のうち、時価総額および流動性の高い300銘柄で構成されるCSI 300 インデックスは、2月28日金曜日の取引終了時から1週間で、約5%の上昇となった。
中でも最大の上げ幅を記録したのが、医薬品メーカー「Hansoh Pharmaceutical (翰森製薬集団)」で、同社会長のZhong Huijuan(59歳)の保有資産は3月6日の取引終了時刻までに、約22億ドル上昇し、166億ドル(約1.7兆円)に達した。
Zhongの夫のSun Piaoyang(61歳)も、中国最大の医薬品企業「Jiangsu Hengrui」を30年間に渡り率いた人物で、現在の保有資産は136億ドルに達している。
また、深センに本拠を置く血液検査などの医療機器メーカー「Mindray Medical International」創業者でCEOのLi Xitingの保有資産も、同期間に11%伸びて132億ドルまで膨らんだ。
JPモルガンは先日公開した顧客向け資料で、Mindrayの売上が今後も拡大する見通しだと述べた。「感染拡大による需要の急拡大によりMindrayの2020年第1四半期は、予想を上回る見通しだ。中国政府はICU(集中治療室)関連施設の設備の刷新を行うと見られ、中長期的にさらなる需要の拡大が起こり得る」とJPモルガンは続けた。
武漢に本拠を置く中国の眼科グループ「Aier Eye Hospital Group(愛爾眼科医院集団)」の会長のChen Bangの保有資産も、前週から13%上昇し、91億ドルに上昇した。Aier Eyeは米国や欧州、香港などで80以上の眼科クリニックを運営しており、感染拡大の影響で複数のクリニックを閉鎖した。しかし、同社は今年、前年比で30%増の売上拡大を予想している。
新型コロナウイルスの脅威を初期の段階で内部告発した、眼科医の李文亮医師はAier Eyeに勤務していた。李医師は武漢市の病院で診察中に感染し、2月6日に亡くなった。Aier Eyeはその後、約400万ドルを感染拡大の防止活動に寄付し、10万枚の医療マスクや30万個のゴーグルを医療機関に提供している。
一方、中国でトップの富豪であるテンセント創業者でCEOのポニー・マーも、ここ約1週間で約11億ドルの資産を伸ばし、現在の保有資産は445億ドルに達している。テンセントは先日、コロナウイルス向けワクチンを開発する医療テックベンチャーを立ち上げた。
中国では人々が外出を控えており、テンセントが運営するゲームや音楽系サービスの需要も増大傾向にある。