BlueDot以外にも、AIや機械学習を使ってウィルスの感染拡大を防ごうとしている企業は存在する。イスラエルのメドテック企業「Nanox」は、持ち運び可能なデジタルX線撮影システム「Nanox System」を開発した。
このシステムは、クラウドベースのAIソフトウェアを使って患者がウィルスに感染しているかを診断するという。Nanox Systemは膨大な画像データベースを用い、マッチングした放射線科医が診断やアノテーションを行う。また、AIシステムがこれらの情報を組み合わせて迅速な診断を行う。
Nanoxは、このテクノロジーを基盤とした、肺の断層撮影が可能なスタンディング型のX線機器を開発し、空港や駅などに設置することを目指している。
Nanoxは今月、フォックスコンが主導するラウンドで2600万ドル(約27億円)を調達したことを明らかにした。さらに、同社はオーストラリアやニュージーランド、ノルウェー向けに1000台のNanox Systemsを納品する契約を締結した。
Nanoxの共同創業者兼CEOであるRan Poliakineは、AIベースの診断ツールが感染症流行を抑える切り札であると考えている。「Nanoxは、従来のX線撮影をデジタル化することで技術的なブレークスルーを成し遂げた。これからは、感染症予防のために全ての人が年1回スキャンできる体制を整えていきたい」とPoliakineは話す。
「AIと人間の知性を組み合わせることで、より的確な判断や意思決定ができる」とBlueDotの創業者兼CEOのKamran Khan博士も話す。Khanは、トロント大学の教授も務めている。