「バイオ業界のクラウド」、米Culture Biosciencesが15億円調達

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スケールアップのボトルネックを解消


カルチャー社のビジネスモデルは信頼に基づくものである。同社は事業拡大に伴い、所有するバイオリアクターの数(近く300台を超えそうだという)を顧客の需要に応えられるようにしなくてはならない。必要に応じて迅速に容量を変えられる、信頼性の高い「クラウド型ラボサービス」を提供することにより、同社は顧客が長期的には経費を大幅に抑えられるようにしたいと望んでいる。

「私たちの使命は、バイオプロセスの研究者がワークフロー全体を当社のアプリで管理できる、エンド・トゥー・エンド(端と端を結ぶ)プラットフォームを構築することです」とパトリックは説明する。研究者との話から、スケールアップに際しては「(実験室などでの小規模な)ベンチスケールのバイオリアクターラボが主なボトルネックになっている」ことが分かったという。その問題を解消するのが同社のサービスだというわけだ。

パトリックによると、現在の顧客基盤は大まかに言えばバイオ医薬が6割、バイオテクノロジーを工業に応用する工業バイオテクノロジーが4割だという。ただ、いずれその比率は逆転すると予想する。「工業バイオテクノロジーは巨大な分野で、非常に大きなチャンスがあります」

科学者やエンジニア、イノベーターが、より少ない労力でより多くのことができるようにするプラットフォームは、すでにホットな分野となっている合成生物学をさらに活気づけることになりそうだ。筆者もカルチャー社のようなディスラプター(創造的破壊者)の存在から、生物学分野の革命はさらに続くという希望を新たにしている。

なお、カルチャー社による今回の資金調達には、カルティビアン・サンドボックス・ベンチャーズ、ザ・プロダクション・ボードなどが応じた。筆者もDCVCのオペレーティングパートナーとして同社に出資している。

編集=江戸伸禎

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