「入り口はサプリメントでしたが、女性の悩みに寄り添ったプロダクトの“横展開”はやっていきたいと思っていました。約1年ほどカスタマイズサプリメントを展開してみて、肌診断に対するニーズの高さを感じたんです。そこでサプリメントという肌の“インナーケア”だけでなく、肌の“集中ケア”にフォーカスをあてた商品もあるべきだと思い、フェイスマスクを開発することにしました」
トリコ代表取締役社長の藤井香那は開発の経緯についてそう語る。開発にあたって、何よりこだわったのが“プロダクトの質”と“カスタマイズ感”だという。
「サンプルの美容液や市販のフェイスマスクもたくさん取り寄せ、開発メンバーみんなで使って、意見を出し合いました。素材はコットンかジュレのタイプにするのか、また乾くとどうなるのか、液漏れはしないかなど……。今回のプロダクトはサプリメント以上に時間がかかりましたが、その分自信を持って提供できる商品になったと思います」
サプリメントの開発にあたっては、OEM先の工場を100社ほどあたったというが、藤井によれば今回のフェイスマスクに関しても100社ほどあたったという。
「スタートアップがカスタマイズをやるとSKU(Stock Keeping Unit)が増えるので、とにかく初期投資がかかってしまうんです。ロット数を抑えつつも、品質は譲れないので今回も苦労しました。SKUの詳細は公開してないですが、10種類以上はあります」
なぜ、FUJIMIはプロダクトの開発にここまでこだわるのか──その背景にあるのは「お客様の賢さ」だという。
「フェイスマスクはサプリメントや化粧品以上に、乾燥肌用やニキビ用、美白用などさまざまなラインアップがすでにあり、お客様は賢く、商品に詳しい。そういった状況の中で、弊社の商品を選んでもらい、ずっと使ってもらうには“あなたのためだけ”という特別感が大事になってくると思います。でなければ、市販の商品を購入すればいいわけですから。そのため今回のフェイスマスクは肌診断によって処方され、香りもカスタマイズされているものにしたんです」
美容寄りの設問を多めに用意したり、診断結果のグラフを2つにしたり、今回のフェイスマスクの販売に合わせて肌診断の内容もアップデートを重ねたという。
札束を積んだマーケ合戦は意味がない
「ここ数年で肌診断の需要は増していき、コスメカウンターに足を運ぶ人も多くなったと思います。ただ、個人的には肌診断の結果と、購入するプロダクトの成分が一致していないものがまだまだ多いな、と思っています。多くの女性は納得感を重視するので、FUJIMIでは肌診断の結果と、購入するプロダクトの成分を一致させ、女性たちのニーズを満たせていければと思っています」
今後の戦略も、女性の悩みに寄り添ったプロダクトの数を増やしていき、ブランドとして勝負していける会社になっていく予定だという。
「D2Cブランドはマーケティングを工夫して、顧客を獲得するのが戦略だと思われています。ただ、それではお金を大量に使うことになり、資金繰り勝負になってしまう。弊社はそうではなく、いかにブランドをつくり、オーガニックの流入を増やせるか。そこを早い段階で考え、ブランドづくり取り組んでいます。
そのため広告のクリエイティブのほとんどを社内で制作し、顧客の期待を裏切らないブランドであることを心がけています。今後もブランドづくりにこだわって、事業を展開していければと思います」