ビジネス

2019.03.28

女性起業家が挑む「サブスクリプションの新境地」 サプリメントもカスタマイズの時代に

トリコ代表 藤井香那

右肩上がりで成長するEC市場の中でも、ひときわ注目を集めているのが「サブスクリプションモデル(月額課金)」だ。ウォーターサーバーや健康食品、化粧品など、従来の定期・定額コースがそのビジネスモデルの原型であったが、モノ消費からコト消費へ消費者のマインドが移り変わる中、様々なEC事業者がオンラインによるサブスクリプションモデルの導入を進めている。

3月5日にリリースされた、カスタマイズサプリメントのサブスクリプションサービス「フジミ(FUJIMI)」もそうしたサービスの一つ。手掛けるトリコは2018年4月に創業したスタートアップだ。

フジミでは、無料の肌診断サイトによる20問程の設問を通して回答者の肌の状態を分析。診断結果は2000億通り以上で、アスタキチンサンやコラーゲン、フレッシュオイル、プラセンタなどのオリジナルのサプリメント11種類からカスタマイズして処方を組み、一人ひとりの肌の悩みに合わせた飲むスキンケアを提供する。



サプリは保存料やグルテン、香料などの不使用を徹底しており、国内の工場で製造。アメリカのISNFサプリメントアドバイザー資格を持つ専門家の指導を参考に、5種類のサプリを1日分ごとに個包装し、30日分をセットで発送する。定期便の処方内容は肌診断をし直す事で変更できる。価格は6480円。

トリコ代表の藤井香那は在学中にメディアの立ち上げからバイアウトまでの経験を持つ若手起業家だ。藤井自身もスキンケアで悩んだ経験があり、それが今回のビジネスアイデアにつながったと語る。

「在学中にスタートアップで働いていたころはその忙しさから、すぐに肌が荒れてしまっていたんです。美容液もいろいろ変えてみたんですけど、なかなか改善されなくて。外からダメなら内から変えようと、たまたま美容サプリメントを試してみたのですが、美容液を変えた以上の変化が実感できたんです。そこから、内側から変えるサプリメントが美容にとって効果的だと実感したことで、自分たちで美容サプリメントのサブスクリプションサービスに取り組むことになりました」



女性一人ひとりの悩みに寄り添い、ベストなサプリメントをサジェストする

スキンケアをはじめとした美容品とサブスクリプションモデルの相性は特に高い。定期的な購入が見込まれるほか、実店舗を介さず販売することによってユーザーの声がダイレクトに販売元へ届くことで製品のクオリティ改善につながるからだ。それだけではなく、消費者の行動の変化がサブスクリプションモデルの市場を後押ししていると藤井は見ている。

「人は本来、あまり選択したくないんです。世の中にモノやサービスの選択肢が溢れかえっている中で、ベストな選択肢を見つけるためには大変な労力が必要になってきます。だからこそ、あなたに合ったものをサジェストし、定期的に送られてくるサービスは今後流行ると感じています」(藤井)
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文=大木一真

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