蜷川実花が描いた、いまの東京──『FOLLOWERS』で伝えたいメッセージとは?

(左)FOLLOWERSに出演している池田エライザ (中央)FOLLOWERS監督の蜷川実花 (右)FOLLOWERSのファッションを監修した軍地彩弓

先ごろ開催された第92回アカデミー賞では、歴史が動く瞬間を目の当たりにした、と感じた人も多かっただろう。ポン・ジュノ監督作『パラサイト 半地下の家族』が、外国語映画としては初の作品賞を獲得したほか、監督賞や脚本賞など4部門を受賞。非英語圏の作品が普遍性をもって世界に受け入れられることを証明してみせた。

一方、アカデミー賞での存在感を増しているのはネットフリックスだ。前回の第91回ではアルフォンソ・キュアロン監督作『ROMA/ローマ』が監督賞など3部門受賞したが、今回はマーティン・スコセッシ監督作『アイリッシュマン』が10部門にノミネートされたほか、製作会社としては最多となる24部門にノミネート。助演女優賞(ローラ・ダーン『マリッジ・ストーリー』)など2部門を受賞した。

ネットフリックスは積極的に世界各国でオリジナル作品の製作を進めており、グローバルで多様性を担保するエコシステムを構築しつつある。アジアだけでも180を越える作品を手がけており、日本では『ULTRAMAN』『7SEEDS』などアニメシリーズや『テラスハウス』『あいのり』などリアリティシリーズに加え、話題となった『全裸監督』や園子温監督作『愛なき森で叫べ』といった実写オリジナル作品が配信されるなど、「日本発」作品への注力を着々と進めている。

蜷川のフィルターを通した「いまの東京」


2020年2月27日、製作発表から1年5カ月のタイミングで満を持して配信開始されるのが、蜷川実花監督作『FOLLOWERS』だ。2019年に映画『Diner ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女たち』と立て続けに劇場公開作品を発表した蜷川にとって、キャリア初となるドラマシリーズ、そして世界190カ国で独占配信となる今作品だが、蜷川に特段の気負いはなかったという。

「撮りはじめて気づいたんです。『あ、そういえばドラマははじめてだったな』と。映画のときは他の仕事をセーブして撮影に集中するのですが、今回は3カ月半の長丁場だったので、写真家の仕事と並行しながら。短距離走並みの速さでマラソンするようなものだったので、息切れしたらどうしよう、って(笑)」

その言葉通り、ドラマは東京を舞台に目まぐるしく展開する。第一線で活躍する写真家のリミ(中谷美紀)は、仕事もプライベートも思うがまま、気の合う仲間たちときらびやかな日々を送っていたが、「子どもが欲しい」という願いを叶えられずにいた。

一方、女優志望のなつめ(池田エライザ)はオーディションを受けるもいっこうに芽が出ず、仲間に弱音を吐きながらくすぶる日々。そんな二人がとある撮影現場で出会い、思わずなつめを撮影したリミがその写真を自身のインスタグラムへ投稿したのを契機に、二人の運命は大きく動きはじめる──。

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写真=ネットフリックス提供
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文=大矢幸世 写真=小田駿一 リタッチ=上住真司

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