保有資産は588億ドル(2019年時点)にのぼるとされるブリンの5つの言葉から、その成功の秘訣を探る。
グーグルを生んだふたりの天才
ロシア・モスクワで生まれ、幼少期からコンピュータに対する興味、関心が高かったブリンは、メリーランド大学で計算機科学と数学を専攻。卒業後はスタンフォード大学の計算機科学修士課程へと進み、検索エンジンやデータマイニング手法などを研究し、多くの論文を発表した。
スタンフォード大学在学中に、後のグーグル共同創始者となるラリー・ペイジと出会う。「検索エンジンを作る」という共通の夢を抱いていたふたりは、現在の検索エンジンにおけるアルゴリズムの基礎となる論文を発表し、1998年にグーグルを創設した。
セルゲイ・ブリンの言葉に潜む成功の秘訣
1. 成功はシンプルから生まれる
ブリンは、物ごとの考え方、伝え方などにおいて、常にシンプルであろうと努めてきた。それは、検索エンジンの裏側にある複雑なアルゴリズムなどを一切感じさせない、使いやすさを追求したグーグルのサイトデザインからも見てとることができる。
2. 正しいことをしよう
グーグル創業当初、ブリンとペイジは「Don’t Be Evil(邪悪になるな)」という社是を掲げていた。現在では「Do the right thing(正しいことをしよう)」と変更された言葉も至極当然なものに思えるが、グーグルが保有する膨大な個人情報に考えを巡らせれば、ふたりがこの言葉を掲げた真意は明らかだ。
3. 成功する唯一の方法は、まずたくさんの失敗をすること
98年の創業から、瞬く間にグーグルを世界トップの検索エンジンへ導いた実績だけを見ると、ブリンの人生は失敗とは無縁のように思える。しかし母校のスタンフォード大学でペイジとともに行ったスピーチでは、グーグルを生み出すまでに、有意義な論文を発表することもできたが、その他に取り組んできたもののほとんどが失敗だったと明かしている。
4. アイデアを思いつくことは、素晴らしいものを生み出す過程の中で最も重要な部分ではない。
Webが面白いものだと感じながら、自分でも明確に何を目指しているのかが見えないまま試行錯誤を繰り返していたというブリン。目の前の疑問や目標を、一つ一つ形にすることでグーグルは生み出されたのだ。
5. 人々が私たちを信用しないと、我々は生き残れないだろう
19年末にブリンがグーグルの親会社「アルファベット」の社長を、ペイジがCEOを退任すると発表した際に、ふたりは「今後もアルファベットとグーグルに深くコミットしていくことに変わりはない」と語った。
その発表と時期を同じくして、独占禁止法違反に関する調査を受けるなど、グーグルには解決すべき課題も山積している。現在は、アルファベットとグーグルのCEOを兼任するサンダー・ピチャイが、「正しいことをしよう」という信念をどう形にしていくかということに世界中から注目が集まっている。