ビジネス

2020.02.04

タクシー業界で「初乗り410円」施策を始めることにしたワケ|JapanTaxi 川鍋一朗

JapanTaxi代表取締役社長の川鍋一朗氏

国内No1のタクシー配車サービス「JapanTaxi」アプリなど、タクシー業界のIT化を次々と推し進めるJapanTaxi。同社代表取締役社長の川鍋一朗氏はタクシー業界最大手「日本交通」の3代目として会長も務める。川鍋氏に起業家の素養や事業立ち上げのポイントなどについて聞いた(全6話)。

※本記事は2019年4月に掲載したインタビュー記事に加筆・修正を加えております。

結果を追求する「Doer」たれ


──タクシー配車サービス「JapanTaxi」アプリは国や業界全体を巻き込んで推進されています。そのような大きな取り組みを実現するためのポイントをお聞かせください。

「結果」を出す。特に信頼度が高まっていないうちは「わかりやすい結果」を出す。これが信頼を勝ち取る唯一の方法です。

私が東京ハイヤー・タクシー協会の副会長だった頃、まだ私のタクシー業界でのトラックレコードはありませんでした。そのため、短い期間で「わかりやすい結果」を出すことで、周囲の理解や協力が得られる基盤を作ろうと意識していました。

わかりやすい例として「初乗り410円」施策があります。

初乗り価格が2km 730円から1km 410円になったおかげで、当然ながらタクシー利用者は増えました。さらに運賃組み替えによって短距離運賃を値下げする分、長距離運賃を調整することで全体の売上が落ちないように設計しています。

こうして「わかりやすい結果」を出したおかげで、現在は私の考えや行動に対して多くの賛同を得られるようになりました。「川鍋なら何とかやりそうだ」と信頼していただけているのだと思います。

繰り返しになりますが、まずは「結果」を出すこと。そのために「Doer(実践者)」であること。これが周囲から信頼を勝ち取る上で大切なことだと思います。

自分のブランドエクイティを高める


──配車アプリを提供するウーバーは「ディスラプター」と良く言われていますが、川鍋さんのタクシー業界と共に歩む姿勢とは対照的です。

日本とアメリカでは社会構造、価値観が根本的に異なります。日本では必ずしも「ディスラプター」が賞賛されるわけではありません。

ベンチャー企業はサイクルが早いので、数年だけ有名になって終わり、といったケースも見受けられますが、それでは業界を本質的に変えることはできません。
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文=堀田慶介 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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