ビジネス

2020.01.31

起業家に必要なのは「何をやるか」を決断し続ける力|JapanTaxi 川鍋一朗

JapanTaxi株式会社 代表取締役社長 川鍋一朗

国内No1のタクシー配車サービス「JapanTaxi」アプリなど、タクシー業界のIT化を次々と推し進めるJapanTaxi株式会社。同社代表取締役社長の川鍋一朗氏はタクシー業界最大手「日本交通」の3代目として会長も務める。川鍋氏に起業家の素養や事業立ち上げのポイントなどについて聞いた(全6話)※本記事は2019年4月に掲載したインタビュー記事に加筆・修正を加えております。


No.1とNo.2の決定的な差

──川鍋さんが考える「起業家にとって重要な素養」は何でしょうか?

最も必要なのは自分がやっていることを信じる「思い込み力」ではないでしょうか。

経営者は辛い局面に多々遭遇します。そんな時でも、自分がやっていることを信じられないと、大義名分が見出せずに挫折してしまうでしょう。

私の場合は3代目の継承者として「お前が3代目だ」と創業者の祖父から言われ続けて育ちました。これは運命的なものですが、自分は当然社長を目指すものだと「思い込んで」いたのです。

私のように運命的な理由を持つ人もいるでしょうし、なにかしらの原体験があるという理由を持つ人もいるでしょう。どんな理由でもいいので、自分がやる必然性があると「思い込める」のであれば、道は開けてくるのではないでしょうか。

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── 一般的な起業家と継承者では心の持ちようがかなり異なりそうですね。

私の場合、日本交通の社長に予定より早い35歳で就任したときに、「この先どうするんだっけ?」と思ったことが一つのターニングポイントになりました。

いざ社長になってみて痛感したのが「No.1とNo.2の見える世界は180度違う」ということ。「日本交通の社長になる」ことが目標だったため、そこから先の道筋が見えていませんでした。

先頭に立って正解のない道を選んでいく難しさはトップにならないと体感できません。私のような継承者でも、起業家でも、共通して大事なのは「何をやるか」を決断し続けることです。

昨今の資金調達環境や技術インフラ状況は、確かに起業に最適だと思いますが、起業することが目的ではなく「何をやるか」が目的です。そして自分がやる必然性を「思い込める」かどうかで、続けられるかどうかが決まると思います。

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文=堀田慶介 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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