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2020.01.30

ゼロカーボン競争、マイクロソフトも参戦 30年までに実質マイナスへ

マイクロソフトCEO サティア・ナデラ(Photo by Sean Gallup / Getty Images)

米マイクロソフトは1月16日、同社のカーボンフットプリント(原材料の調達から生産、廃棄や回収までに排出される温室効果ガスの量を二酸化炭素=CO2=排出量に換算して表したもの)を大幅に減らすことを約束した。アマゾン・ドット・コムやアップル、テスラといった米国のほかのテック大手に続く動きだ。

マイクロソフトは2030年までに、CO2の排出量が実質マイナスのカーボンネガティブを達成し、50年までには1975年の創業以来のCO2排出量と同量を削減することを目指す。そのために、CO2の回収・貯留技術や、植林などによるカーボンオフセットに大規模な投資を行う計画だ。

マイクロソフトの社長、ブラッド・スミスは声明のなかでこう述べている。「地球の気温はすでに1度上昇しました。私たちが温室効果ガスの排出を抑制しなければ、気温は引き続き上昇するでしょう。その結果は破滅的なものになると科学は告げています」

「より早く、踏み込んだ行動ができる者は、実際にそうすべきです。マイクロソフトが今日、自社のカーボンフットプリントを最終的に取り除くという野心的な目標と新たな計画を発表するのは、そういう理由からです」

マイクロソフトは誰もが認めるテック業界の巨人である。過去1年も、人工知能(AI)研究の米スタートアップ、オープンAI(OpenAI)に10億ドル(約1090億円)出資を発表したり、米国防総省の100億ドル(約1兆900億円)規模のクラウド事業「JEDI」の契約をライバルのアマゾンを破って受注したりするなど、大きな動きが続いている。2019年には株価も55%上昇した。

マイクロソフトにとって、AIやクラウドに続く大きな事業となるのが「地球を救う」ことだ。30年までのカーボンネガティブ達成のためには、CO2排出量を現行比で半減させるほか、CO2の除去に大規模な投資を行う。必要な資金の一部は、12年に導入した社内炭素料金の対象を広げることで確保するという。

マイクロソフトのCO2削減目標は、自社から直接排出されるものと、サプライチェーンとバリューチェーンの全体から排出されるものの両方を対象としている。

マイクロソフトはこのほか、CO2の削減や回収、除去技術の開発を世界規模で促進することを目的とする10億ドル規模の気候ファンドも設立する。スミスはCO2回収設備について「まだ手頃な価格でも効率的でもない」と認めながらも、技術の進歩や事業規模の拡大によって、今後コストが下がることに引き続き自信を示している。
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編集=江戸伸禎

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