日本発「木のストロー」はトレンドになるか? 国産スギの間伐材を活用

アキュラホームが開発を手がけた、木のストロー

木のストローを使ってみた

筆者も実際に使ってみると、薄く削られた木を使用するため飲み口に違和感はない。さらにほのかな木の香りを感じながらも、飲み物の匂いや味への影響は感じられなかった。

紙ストローの場合は徐々にふやけて飲みづらく、ふやけた紙を誤飲して事故が起こるなどの問題があったが、木の性質上、そういった心配はない。またガラスのストローのように割れる心配もない。試行錯誤の甲斐あって、機能面でも十分なものが出来上がった。

薄い木片と専用の糊があれば、誰でも簡単に作ることができるように、木のストローのキットも制作した。この手軽さは、多くの人に環境問題について考えてもらう際の強みだ。「このストロー1本では全てを解決するわけでもなく、現状を変えることはできません。しかし、まずは手にとってもらうことが大切。こんなに環境問題は根深いのか、と考えてもらうきっかけになればいい」と竹田は話す。


イベントにて、木のストローを製作する参加者たち

1月中旬に行われた「木のストロープロジェクト」発表イベントでは、一般の参加者が実際にストロー作りを体験した。制作キットの説明文に沿ってストローを巻いていくのだが、最初は隙間ができないように作るのが難しい様子の参加者もいた。しかし2本目からは出来栄えも良くなり、自分で作ったストローというだけあって満足そうに、SNSにアップする人もいた。

「楽しんで自分で作る」という行為が、環境問題との接点をつくるきっかけとして、とても重要だと感じた。あまりにも大きな問題は、自分が直接関係あることとして捉えにくい。自分で作った1本のストローすらも、環境になんらかの影響を与えるのだ、とまずは気づくという意味でも、「木のストロー」の役割は大きいように感じる。

現在紙ストローが1本数円であることに対して、木のストローは1本50円。確かに高いが、選択肢のひとつとして目を向けてみる価値はあるのではないか。

一人ひとりのほんの少しの意識から始まったことが、多くの人の共感を呼び、ムーブメントになっていく。「木のストロー」には、そんな希望を感じる。

文=河村 優 写真=督あかり

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