現代アート界の「ゲームチェンジャー」になれる理由
描き終わると、小松美羽プロジェクトの一員としてチームで支えるひとり、星原恩が登場し、小松の挨拶を中国語で通訳した。台湾にルーツを持つ彼女は、プロジェクトのマネージングディレクターであり、ホワイトストーン・ギャラリーCEOの白石幸栄らとともに、台湾での熱狂を生み出す仕掛け人だ。
小松美羽の挨拶を中国語で通訳する星原恩(左)
ホワイト・ストーンギャラリーにはアジアを中心に世界の現代アーティスト約100人が所属するが、中でも小松美羽がイチオシだという。白石は小松について現代アート界において、「今の時代の新しいゲームチェンジャー」であると評する。これまでイギリス、イタリア、アメリカ、中国などそれぞれ違った文化圏での展示を手がけてきたが、祈りや大和力を体現する小松作品の魅力は、世界で通用するという。
個展のオープニングで挨拶するホワイトストーンギャラリーCEOの白石幸栄
それでは、なぜ台湾でここまで「小松愛」が広がっているのか。白石は「台湾の現代アートの愛好家は欧米だけでなく中国と日本の作家もフォローしているので、真の意味で国際的なのかもしれない」と分析。「アートを購入する本来の理由は、作品が好きだからという想いから。ですが、日本よりも現代アートと身近につながることができ、美術投資に未来を感じている人も多いのでしょう」
小松作品は年間で2割以上、価値が上がり続けているという。基本的には所有者の自由だが、3年間の転売禁止を約束している。白石は「ありとあらゆる通貨で買われることで、価値が下がることを防ぐことができる。より世界中の人に愛してもらうため、いろいろなマーケットに丁寧に小松さんの魅力を広めていきたい」と意気込みを語った。
左からアートプロジェクトを支える星原恩、髙橋紀成、佐久間千代美
会場には、星原のほかに、アートプロジェクト全体を統括するエグゼクティブプロデューサー髙橋紀成とブランドディレクターの佐久間千代美の姿もあった。この3人は小松のマネジメントと世界展開をサポートする株式会社「風土」の主要メンバーであり、世界の現場を小松とともに飛び回っている。
今回の台湾の個展では約2億円を売り上げた。髙橋は「重要なことはチームが、この数字に浮かれていないことだ。これは通過点にすぎず、世界の恒久平和を掲げたプロジェクトを世界中に知ってもらいたい。ビジネスでありながら、私たちの思いと夢が詰まった究極の趣味とも言える」と、真剣に語る。
次なる開拓地は、東南アジア市場だ。2020年は、広島のウッドワン美術館で個展が5月末から開催され、夏にはインドネシア国立博物館から展覧会のオファーを受けているという。
チームによる戦略の下で、世界を舞台に活躍する小松美羽とは、一体どんな人なのだろう。小松のインタビューを後日、お届けしたい。