空前の歌舞伎町ブーム、注目のNEWスポット3選。新宿の夜が面白い。

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新たなビルの建設や商業施設のオープン・リニューアルが相次ぎ、2019年、多くの人を集めた渋谷。一方で、新宿にもディープなスポットが続々と登場していて面白い。特に今、街として歌舞伎町は空前の大ブームを迎えている。

僕は新宿・歌舞伎町でホストクラブやバー、美容室など十数軒を経営する「Smappa! Group」の会長を務めている。

今回、歌舞伎町でオススメのNEWスポット3選を紹介して欲しいとの編集部の要望を受け、筆を執った。

手塚マキ 歌舞伎町

ベスト3の紹介の前に、まずは歌舞伎町がなぜこんなにも多くの人を魅了するのか、僕なりの考察を伝えたい。

歌舞伎町には24時間、たくさんの人が街中に溢れ、どの形態のお店も景気が良く空きテナントを見つけるのは大変だ。家賃も驚くほど高騰している。歌舞伎町2丁目で坪単価4万を超えるところも出てきた。

この状況になった要因は勿論色々あると思うが、大きな要因の1つが海外の評価だと思う。欧米のアーティストがPVのロケ地にしたり、大手ファッション誌が撮影をしたりと、フォトジェニックな街の景色が「イケてる」という烙印を欧米人に押して貰ったということだ。

日本人の価値観は欧米人の価値観に左右されやすい傾向があるという典型的な事例のように、ここ数年は実感している。

歌舞伎町ブームの立役者、ロボットレストランの戦略

そんなブームを牽引し続けているのはロボットレストランと言っても過言はないだろう。実際にロボットレストランのインバウンド担当の田中さんに話を聞いてきた。

総工費100億円という宣伝文句と独特な脳裏に残るリズミカルな音楽と共に、荷台に大型人間ロボットを乗せたトラックを東京中走らせるという異次元な派手さをまき散らして、2012年に歌舞伎町のさくら通りにオープンした。

ロボットレストラン 歌舞伎町
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当然歌舞伎町では物凄い話題になり、実際に僕もオープンしてすぐに行ってみた。しかし客席数と客単価を考えても利益度外視の税金対策なのかな、と思ったし、これで商売として成り立っていくのかなと疑問に思った。

実際にオープン当初は経営難の時期が続き大変だったそうだ。そのころは小さな海外メディアが紹介してくれることが多少あり、少しずつ海外のお客様がやってくる程度だった。しかし、そこに一筋の光を感じ、2013年に外国人観光客に特化する経営方針に舵をきる決断をする。

都内1000軒以上のホテルを回りコンシュルジェの人をお店に招待してパイプを作り、観光案内所もすべて網羅した。観光客が目に触れるところ全てに広告を出すローラー作戦をひいた。観光客向けの雑誌、フリーペーパーあらゆるものに掲載し、旅行会社と組んでツアーを作り、海外のウェブも含めた観光案内サイトも軒並網羅した。「インスタ映え」という言葉が生まれる前からSNSでの拡散を意識し、お客様に呼び掛けていた。

そして宣伝だけなく、従業員教育にも力を入れた。多文化を学び失礼のないジェスチャーや態度を身に着けさせた。店内アナウンスもメニューも英語のみに切り換え、更に日本語学校などに求人活動をし、スタッフも外国人を増やした。

その成果があり、2015年頃に黒字転換してからは右肩上がりの天井知らずだ。1日4公演192席は99%外国人、2019年は約25万人の外国人が来店した。

戦略実り、インバウンドの成功事例に

話を聞かせて頂いて驚いた。歌舞伎町ブーム、SNSなどで自然拡散されて今に至ったのではなく、戦略的に今の状態を作っていたのだ。資金があるからだけで出来ることではない、一企業が自らの力で、あらゆるアンケートで金閣寺などの歴史的観光地と並ぶような店を作り上げたのだ。日本の観光資源の1つを作り上げたとも言える。

今ではJINTO(日本政府観光局)でインバウンドの成功事例として取り上げられたり、シンボジウムに呼ばれたりするようになった。それは歌舞伎町の企業としては初めてのことではないだろうか。

外国人に支持されることで、国内のスタッフ達のモチベーションを上げることに大いに繋がったそうだ。いまだに残る歌舞伎町で働くことへの偏見。それは外からの見られ方だけではなく、自分達の心の方にこそ大きな影響を与えている。社会からの疎外感、自分たちは「社会」の外でしか働けないんだという劣等感、そういう不安や悩みを吹き飛ばしてくれたそうだ。

今では地方から出てきて働いているスタッフが祖母を連れて来たりするようになったそうだ。田舎のおばあちゃん達でも知っている存在になったのだ。彼らにとって誇れる仕事になったのだ。その誇りが今のロボットレストランの成功を支えているのだろう。

新卒の大学生が就職先として選んできてくれることも増えたそうだ。

次のページではいよいよ、僕が注目する歌舞伎町のNEWスポット3選をお届けしたい。
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文=手塚マキ

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