「スマート化」が進む中国の都市
中国がスマートテクノロジーへの投資で効果を上げているのは、トップクラスの多国籍企業を誘致しているからだけでなく、都市の浄化も後押ししているからでもある。世界保健機関(WHO)は09年に34億人だった世界の都市部の人口は50年には64億人に増えると予測しているが、スマートシティーはクラウドベースの技術を活用することで、20年までに二酸化炭素排出量を16%減らせるという。
例えば、上海では行き届いた交通整理システムが整備されている。車は青信号が続く時間が秒単位で分かるし、道路を渡ろうとする歩行者も同様の情報を得られる。市は電子機器大手の華為技術(ファーウェイ)が開発したアプリを使って、交通量や駐車スペース、公共交通機関に関する情報を市民に提供してもいる。それによって、渋滞の緩和や大気の質の改善を図る狙いだ。
一方、北京は東京に続こうとしている。両都市では既にキャッシュレス化がかなり進んでいて、店舗での買い物から地下鉄の乗り降りまで、だいたい何でもカードやスマートフォンで済ませられる。日々、大勢の人が活動しているところでは、それを処理するスピードも速くなってくる。北京では、ファーウェイの「ファーウェイ・ペイ」という決済アプリなどが活用されている。
アクセンチュア・リサーチのマネジングディレクター、マーク・パーディー氏は中国につい「AI技術の活用によって生産性や長期的な経済成長を向上できる、途方もなく大きなチャンスがある」と述べている。
中国には、クラウドコンピューティングやAIのおかげで世界屈指の先端的な都市を有しており、またそれらがフォーチュン500企業や高度な人材、巨額の外国投資を引きつけている形になっている。そうしてまた、クリーンなコネクティッドシティーが生まれ、新たな経済発展の基礎が整ってくる。蘇州工業園区はその好例だと言えるだろう。