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成功している企業の中には、想定外の要因によって創業者の当初の狙いとは異なる形で発展を遂げた事例も多い。競合が多い、需要が少ない、タイミングが悪いなどの要因で苦戦しても、諦めるのは早い。ピボット(方向転換)すればいいのだ。商品やターゲット層、自らのスキルさえも修正してビジネスを成功に導くこともできる。

「Garçon Wines」は2016年にワインのサブスクリプションサービスをイギリスで開始した。発足当初、同社の独特な平べったいワインボトルはイギリス国内でしか注目されなかったが、特許の取得をきっかけに世界的に注目を集めるようになる。

イギリスでのワインの年間消費量は17億本だが、世界的には約330億~350億本とされている。そこで、Garçon WinesはB2Bでワインの卸売りと容器の販売を行う方向に舵を切った。2017年上半期に方向転換を始め、1年後には花のサブスクリプションサービスの「Bloom & Wild」にワインを卸し始めた。

CEOで創業者のSantiago Navarroは「イギリス国内で、B2Cのワイン販売を行う事業では限界が見えていた。大きく成功したとしても、B2B企業と比べると小さな売上にしかならない」と語る。

同社は起業家のRyan Howsamから10万ポンド(約1400万円)の出資を受け、企業価値は100万ポンドとされた。さらに知的所有権を35か国で取得すると同時に、使い捨てのプラスチックではなく環境に優しいドリンク容器を先駆的に開発した。

Garçon Winesは今ではイギリスだけでなくオランダでもワインと容器を販売しており、近々アメリカにも進出する予定だ。

一方、テック系スタートアップのUENIは現在、「世界中のビジネスをオンライン化する」という理念を掲げ、毎日3000以上のビジネス系ウェブサイトを構築しているが、当初の狙いは違うものだった。

同社のCEOで共同創業者のChristine Telyanは「会社を立ち上げた当初は、地元のビジネスの検索エンジンを作るという構想で、ヨーロッパの300万件のビジネスの情報をデジタル化することから始めた」と話す。

地域のコミュニティー向けのアプリを提供し、地元の企業を見つけられる検索エンジンを作るというアイデアだったが、企業らのレスポンスは遅く、なかなか話が進まなかった。

そこで、Telyanが考えたのはビジネスモルを単純化し、企業らに無料のオンライン化サービスを提供することだった。「方向を変えたことで、小さな企業をウェブ上で可視化するという当初のミッションを再認識できた」と彼は話す。

企業がピボットを行う上で、大切なのは当初の理念を忘れないことだとTelyanは続けた。「検索エンジンからは2017年に撤退したが、顧客が抱えている問題を解決するというビジョンを忘れたことはない」

UENIはこれまで累計3000万ドル以上の資金を調達し、イギリス、ヨーロッパ、北米、メキシコ、ブラジル、そしてインド市場に進出した。

編集=上田裕資

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