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「より環境に優しい交通」をうたう配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズ。そんな文句と裏腹に、欧州ではウーバーのような配車アプリの利用拡大が、大気汚染や気候変動の一因となっていることを示唆する調査結果が明らかになった。環境団体からは、同社などに車両の電気自動車(EV)などの対策を急ぐよう求める声が上がっている。

ウーバーはこれまで、自社のテクノロジーについて、移動をより簡単、安価、安全にするだけでなく、特にライドシェア(相乗り)サービスを提供している都市では、自家用車に対して環境に優しい代替の選択肢となるものだと売り込んできた。自社のウェブサイトでもこうアピールしている。

「より少なく、より効率的な車でより多くの人を運べば、1人当たりの環境への影響を軽減できます」──。

しかし、英調査会社ユーロモニターと欧州の環境NGO「トランスポート・アンド・エンバイロメント(T&E)」がこのほどまとめた報告書のデータは、そうした宣伝がむなしく響くような現実を告げていた。欧州の主要都市では、配車サービスの運転手の急増と大気汚染の悪化との間に相関性が認められたのである。

「ウーバーのCEOは私たちにこう言います。自分たちは『正しいことをやっている、以上』。ところが実際は、ウーバーは交通・汚染問題に関わっていました。私たちの都市で車の移動を増やし、気候・汚染危機に拍車を掛けていたのです」。T&Eのモビリティー専門家、ヨアン・ルプティはそう批判する。

「ウーバーは解決に貢献したいのなら、ガソリン車やディーゼル車の使用をやめ、電動車への全面的な移行を急いで進めなくてはいけません」

欧州では近年、プライベートハイヤー車と呼ばれる配車用車両の登録台数が急増している。2015年にタクシー市場を自由化したフランスでは、こうした車の登録台数は16年の1万5000台から19年に3万台に倍増した。ロンドンでは、ウーバーの運転者が16年の2万5000人から18年に4万5000人に増え、プライベートハイヤー用の免許の半分を取得している。

報告書によると、ウーバーは今では欧州で広義のタクシーサービスの大手に成長しており、ロンドンでは19年に360万人、フランスでは17年時点で270万人のユーザーを抱えている。

報告書は、ウーバーの車は単に既存のタクシーに取って代わっているだけではないとも指摘。なぜなら、タクシーの免許数は伝統的に上限があるが、プライベートハイヤー車にはそれがないからだ。

実際のところ、ロンドンではウーバーの進出後、従来のタクシーとプライベートハイヤー車の合計台数は26%増えている。T&Eはこのデータについて「同じ期間に英国のタクシー・プライベートハイヤー車部門の二酸化炭素(CO2)排出量が23%増えたことと、強く相関している」と述べている。

編集=江戸伸禎

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