今回の分析によると、ウーバーの配車サービスによるCO2排出量はロンドンとパリ、ブリュッセルの3都市だけで最大50万トンに達すると推定されている。これは自家用車25万台分の排出量に相当するという。
従来のタクシーと同様、プライベートハイヤー車でも依然として化石燃料が幅を利かせている。フランス政府の17年のデータによると、登録されたプライベートハイヤー車の90%をディーゼル車が占めていた。
プライベートハイヤー車は一般にウーバーのものが最も多いが、登録数の増加にはリフトをはじめとする同業他社も寄与している。別の調査によれば、多くの人は配車アプリを、手軽さや料金の安さといった理由から、自家用車やタクシーの代わりというよりもむしろ公共交通機関の代わりに利用している。つまりウーバーは、人々を公共交通機関から引き離して、化石燃料車に押し込んでいる形になっている可能性があるのだ。
環境団体は配車サービス企業に対して、より迅速で踏み込んだ環境対策を講じるよう訴えている。
今回の報告書の発表を受けて、米国、ドイツ、フランス、英国、オランダ、ベルギーの環境NGOでつくる団体は、「ウーバーの本当のコスト(True Cost Of Uber)」と銘打ったキャンペーンを開始。今後、各都市に対し、配車企業に環境に優しい車両の使用を義務づけるよう働きかける考えだ。またウーバーには、25年までにロンドンだけでなくすべての大都市で、全車両をEV化するよう約束することを求めている。
報告書に関してウーバーの広報担当者は「当社は、車の所有に過度に依存した交通から、車が共有され電化された未来へと人々や都市が移っていけるよう、後押ししていくことに努めている」とコメント。そのために欧州各地の都市と積極的に協力していくとしている。
欧州連合(EU)の温室効果ガス排出量では、運輸部門の割合が25%超に上り、そのうち半分近くは車から出されている。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標を達成するためには、遅くとも50年までに運輸部門からの排出量をゼロにしなくてはならない。そのためには、35年以降はガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する必要がある。