ジョブケースは、米国のターゲット層1億9700万人のうち、既に1億1000万人を会員として確保している。さらにゴフは、今後1年半以内にサイトを世界展開する予定だ。主要20カ国・地域(G20)では人口の84%が大学を卒業していない。ゴフは、この市場を開拓することで会員数10億人と企業価値10億ドル(約1兆1000億円)を早期に実現できると見込んでいる。
現在52歳のゴフは、同サイトの会員が抱えている苦難を、自らの経験と重ねる。元海兵隊の父は、オハイオ州トレドのクライスラー工場でトランスミッション修理工として働いた後、生命保険のセールスマンになった。ゴフはカーネギーメロン大学で修士号を取得したものの、卒業と同時に1990年の不況に見舞われ、4カ月の間トレドで皿洗いの仕事でしのがねばならなかった。
ゴフはその後、ニューヨークでオプショントレーダーとして一時働いた時期を経て、マサチューセッツ工科大学(MIT)で2つ目の修士号(テクノロジーマネジメント)を取得。さらにもうひとつの不況を乗り越え、本当は希望していなかったオクラホマシティのエネルギー企業の最高情報責任者(CIO)職に就いた後、ケンブリッジのヘッジファンド、パーシピオ・キャピタル・マネジメントのCEOとなった。
2008年の金融危機で経営に行き詰まると、ゴフはパートナーらを説得し、自身が新たに立ち上げたパーシピオ・メディア(Percipio Media)への支援を取り付けた。同社は、他のサイトから求人情報を収集し、余計なものを排除した求人掲示板を立ち上げた。
同社の業績は順調だったが、2014年にラスベガスで行われた人事管理関係のカンファレンスに参加したゴフは、自社の掲示板の利用者がより多くのサポートを必要としていることに気づいた。リンクトインでは洗練された履歴書風プロフィールを作成できるものの、地元トレドのビジネスコンビニ店従業員のような人々には何の役にも立たなかった。ゴフはパーシピオの求人掲示板事業を子会社化し、組織を再編してジョブケースを創業した。