失業した上に独り身となった彼女は、グーグルを使って求人情報をひたすら検索する日々を送る中で、あるサイトを見つけた。ブルーカラーやサービス業で働く人向けの求人情報を集めた交流サイト(SNS)「ジョブケース(Jobcase)」だ。
「このサイトのおかげで、文字通り人生が変わった」。同サイトに無料で登録したところ、数百万件の求人情報や、他の利用者が投稿した有益な情報を閲覧することができた。投稿者の多くは、孤独な職探しに悩んでいた。
コントレラスは2017年7月、ある投稿に張られていたリンクをきっかけに、時給10ドルのカスタマーサービスの仕事を得た。そして2年後、またもやジョブケースのおかげで、今度は時給13ドルのカスタマーサービス職に転職。現在は特に転職の希望はないものの、毎日ジョブケースにログインしている。「気になる投稿があれば、コメントするようにしている。求職中の人の気持ちが分かるから」
ジョブケースを創業したフレデリック・ゴフ最高経営責任者(CEO)は、コントレラスの体験談を聞いた後、「これを皆のためにしなくては」と語った。ゴフは2015年、リンクトインができなかったことを実現させるべく、マサチューセッツ州ケンブリッジでジョブケースを立ち上げた。米国では、労働年齢に達した人のうちの8割が、4年生大学を卒業していない。ジョブケースが目指したのは、こうした人々が交流し、求人情報を検索し、キャリアを築いていけるサイトだ。
ゴフは、ジョブケースのために1億1850万ドル(約130億円)の資金を集めた。調査会社ピッチブックは同社の価値を4億4500万ドル(約485億円)と見積もっている。収入はアマゾン・ドット・コムやピザハット、フェデックスなどの企業2000社から得ており、ゴフはここ1年の売上高を1億ドル(約110億円)と推定。こうした企業が支払う額は、求人情報の掲載が1件当たり199ドル(約2万2000円)、ジョブケース主催の採用イベントへの参加が5000ドル(約55万円)などだ。