市場はそういうふうに機能している。つまり、日々、大企業であれ小規模な企業であれ、その企業の真価を明かそうとしている。PE投資企業がやっているのは、その真逆のことだ。だが、どんなPE投資も、投資先の最終的なIPOが約束されない限り、無駄になってしまう。私たちがもしそのことを知らなかったのだとすれば、ウィーワークのIPO失敗はそれを教えてくれたのではなかったか。
SBGは決算発表を自社が事業会社であるかのように行っているが、傘下の米携帯大手スプリントの持ち株比率が、提案している米同業のTモバイルUSとの合併によって低下すれば、シリコンバレーのサンドヒルロードに集まる典型的なPE投資会社にますます似てくるだろう(米連邦通信委員会はこのほど両社の合併を承認した。合併が実現すれば、新会社に対するSBGの出資比率は27%になる見通しだ)。
孫会長はどのくらいまで痛みに耐えられるだろうか。SBGはこれまで低金利を活用して社債を発行し、それによって調達した資金の一部を自社株買いに充ててきた。しかし、もしこうした資金繰りのサイクルが終わりを迎えれば? もし評価の切り下げや巨額の負債のせいでSBGが投資を手控えるようになれば、過大評価された破壊的な企業に、誰が資金を融通するのだろうか。SBGが、地球上のほぼすべてのテック系ユニコーン(評価額が10億ドルを超える未上場企業)にとって頼みの綱の投資家でなくなったとしたら、既存のPE投資会社のバリュエーションはどうなってしまうのだろうか。
これは魅力的なシナリオではないが、筆者は自分の投資会社エクセルシオール・キャピタル・パートナーズでは、今年のIPO後「倒れたユニコーン」については引き続き空売りをしていくだろう。