その分野は多岐にわたり、生理、不妊、セクシャルウェルネス、卵子凍結、更年期に至るまで、多様な生き方をしている女性たちのQOLの向上をサポートし、女性の一生に寄り添う新たな分野として期待されている。
拡大するフェムテック市場
2012年に60億円ほどだったフェムテック市場は、4年後の2016年に200億、今年上半期には400億を突破するなど成長の一途を辿る。今年4月には、ウェアラブル搾乳器や膣トレーニングをサポートするデバイスを販売する英「elvie(エルビー)」がフェムテック業界における過去最高の投資額である42億円の資金を調達。
この投資額は、メルカリと同規模というから驚きだ。米コンサル、フロスト&サリバンの試算によれば、フェムテック市場は、2025年までに全世界で約5兆円規模にまで成長すると言われており、投資家からの視線も熱い。
日本におけるフェムテックもここ2、3年で急速に成長したが、女性のヘルスケアを表舞台に出すことに抵抗感があったり、未だタブー視されていたりする現実もある。
そうした風潮を変え、女性の健康課題について情報交換の場を増やそうと、9月には東京・渋谷でフェムテック製品の展示やワークショップを行うイベント「Femtech Fes!」が開かれた。日本を含む9ヵ国からフェムテック関連のプロダクトやサービス約30点が展示されたほか、70名を超える参加者らが女性のヘルスケアについて意見を交わした。
「Femtech Fes!」(主催:fermata株式会社)の様子
生理アプリ、スマホ画面で見えるの恥ずかしい
生理日予測・共有アプリ「PAIR CARE(ペアケア)」をローンチした酒匂ひな子さんは「気軽に使える女性ヘルスケアアプリがない」との思いから、アプリの開発に乗り出した。9月のリリースからわずか2カ月弱で、登録者数は2万人を突破。人気マッチングアプリ「Pairs」の立ち上げに加わった経験をヘルスケア分野に活かした。
酒匂ひな子さん
酒匂さんによれば、生理日予測アプリは数多くあれど、実は継続利用者が多くないという。背景にあるのは、アプリのホーム画面表示を避ける女性が多いことだ。
酒匂さんは、多くの女性が、一目で生理アプリと分かるようなアイコンなどは、恥ずかしさからホーム画面ではなく、サブカテゴリーに振り分け、隠すように利用していることを発見。結果的にアクセスが遠のき、定着しづらいのではと考え、LINEでの利用を考えた。
LINEであれば、ホーム画面にアイコンが直接表示されることはなく、接触回数も多い。キャラクターを愛らしい熊にすることでヘルスケア色を薄め、アクセスのしやすさも工夫した。