台北に本拠を置くリサーチ企業Market IntelligenceのEddie Hanは、「アンドロイド市場では競争が激化しているが、HTCは安価な5G端末をリリースすることで、差別化を果たそうとしている」と述べた。
HanによるとHTCの5G端末の発売は来年になる見通しで、価格は333ドル以下になるという。
HTCはスマホの勃興期だった2011年には、当時最高レベルのアンドロイド端末を送り出し、市場シェア10.7%を獲得していた。その頃のHTCはサムスンやソニーと並ぶハードウェアメーカーとされていた。
しかし、その後のマーケティングの失敗や中国メーカーの台頭により、HTCのポジションは大きく下落した。さらに4年ほど前から経営不振に直面した同社は、1500人を解雇した後、グーグルに11億ドルで設計チームを売却し、2000人が職場を去っていた。
IDCのデータによると、HTCの市場シェアは直近でわずか1%以下にまで低下している。HTCは今年の第2四半期に7200万ドルの損失を計上していた。
5Gネットワークに対応するスマホは、従来の機種よりも速い速度でデータのアップロード及びダウンロードが行える。5G端末の出荷台数シェアは現在0.5%程度だが、2023年には26%に達するとの予測もある。
今年9月にHTCの新CEOに就任した元オレンジのイヴ・メートルは、テッククランチのイベントで「2025年までに5Gがスマホ業界に転換点をもたらす」と述べたという。HTCは近年、VR(仮想現実)デバイスに注力しているが、ここにも5Gが組み込まれる可能性がある。
さらに、HTCは今年6月、複数のユーザーが高速で動画をストリーミングしたり、ゲームをプレイすることを可能にするハブデバイスの「5G Hub」をリリースしていた。
IDCの調査主任のKiranjeet Kaurは「HTCはローエンドの5Gスマホを市場に投入することで、アップルやサムスン、中国メーカーのフラッグシップモデルと直接競合することを避けられる」と述べた。「ローエンドからミッドレンジに特化して5G対応を行うのは、理想的な戦略かもしれない」とKaurは続けた。
HTCは5G対応のチップ供給を、来年の第1四半期にこのチップを完成させる台湾のメディアテックに頼るという。HTCが売り出す安価な5G端末の主要ターゲットは、ゲームやスポーツなどの動画視聴を好む層になる見通しだ。Kaurによると、これらの人々の多くは中国の若者たちだという。
台湾の現地メディアによると、HTCの5G端末は来年2月に公開される見通しだ。