「全米球場跡地巡り」に感じるロマン

ペンシルバニア州ピッツバーグにあるパイレーツのホーム球場、PNCパークからのぞむ市街(著者撮影)

アメリカでは、スポーツ・カードの収集は、古くから子供から大人まで楽しめる趣味の一つとして確立し、文化として根付いている。カード・ビジネスも成熟しており、ネット販売やネット・オークションが普及した現在でも、どの街にも昔ながらのカード・ショップがあり、各地でカード・ショーが盛んに行われている。

毎年のように、親族の遺品の中から100年以上前に印刷された希少価値の極めて高い野球カード・コレクションが見つかり話題となるが、現存する野球カードの中で、最も価値が高いのは、1909年に製造された「T206」シリーズのホーナス・ワグナーのカードだ。このカードは、「野球カードのモナリザ」と呼ばれ、クーパーズタウンの野球殿堂博物館にも展示されている。

その価値は、1950年頃までは50ドル程度だったが、その後急激に高騰し、2007年に280万ドルの値を付けた。最近少し下がったが、それでも210万ドルで取り引きされている。NHL(北米アイスホッケープロリーグ)史上最高の選手と呼ばれているウェイン・グレツキーがこのカードをかつて所有していたことは有名だ。


「野球カードのモナリザ」とも呼ばれる「T206」シリーズのホーナス・ワグナーのカード。

フライング・ダッチマンの愛称を持ち、史上最高の遊撃手と評されているホーナス・ワグナーは、ナショナル・リーグの首位打者を8回獲得し、1936年にベーブ・ルースやタイ・カッブらと共に最初に野球殿堂入りした5人のうちの一人だ。

ワグナーのカードの価値が上がった理由には、諸説あるが、ワグナー自身が嫌煙家で、子どもたちにタバコの景品で遊ばせる、あるいは、カード欲しさにタバコを買わせることを嫌い、製造元のアメリカン・タバコ・カンパニーに対して印刷停止を求めたことにより市場に出回った数が極めて少ないためだと言われている。現存するカードは50枚程度らしい。

そのワグナーの銅像は、パイレーツの歴代本拠地球場を転々とし、現在はPNCパーク(ペンシルバニア州ピッツバーグにあるパイレーツのホーム球場)の北西の角にある。ワグナー像が向いているPNCパークの西側は、パイレーツのかつての本拠地で、ワグナー自身もプレイしたことがあり、ピッツバーグの野球史、いや、メジャー・リーグ史を語る上で重要なエクスポジション・パークがあった場所。そこから更に西に10キロのカーネギーは、ワグナーが長く住んでいた街だ。

文=香里幸広

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