9月、アメリカのポートランドで開催された太平洋クロマグロの資源管理策を話し合う国際会議、「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」で、日本は、漁獲枠の拡大を提案したものの、個体数が回復していないことを理由に却下され、漁獲枠を台湾から譲り受けることになった。
水産庁によると、今年の漁獲上限のうち87%が巻き網で、基本的にこの漁法では、神経〆など魚に細かい処理をするのは難しい。水産庁が漁獲枠拡大の理由に挙げたように、「漁業者の生活を守る」のは重要だ。しかし、それは漁の方法を変えることで守ることはできないのだろうか。
リパートの話にあったスペインの漁のように、産卵期は魚を獲らない、個体を見極めて大きく育った成魚のみを獲るということが、これからますます必要になってくるのではないだろうか。
日本近海に生息する太平洋クロマグロの親魚の個体数は、水産庁が回復目標と定める、歴史的中間値量の半分に過ぎない。いまこそ「量より質」が求められているのは確かだ。
TUNA Asian Tuna Tartare; Belgian Endive 2017 by Daniel Krieger
「人々は海の重要性に気づき始めている。私は楽天家です。未来の人々はきっと良いものを食べていると思います。健康にも、地球にも、生き物にとっても」とリパートは最後に締めくくった。
太平洋クロマグロに、その理想の「未来」が当てはまるかどうか。それは、リパートが「多くを学んだ」という日本に住む、私たちの選択にかかっている。