自分と全く違うフィルターで世の中を見るのに最もてっとり早い方法は、「あの人にギブしたいもの」を検索ワードに設定することです。
例えば出張先で娘が喜ぶものを探していると、普段は全く興味がわかないものに目がいくようになります。お土産屋にいても、ぬいぐるみに目がいったり、本屋に入れば絵本コーナーに目がいったり……。そして、本人が喜んだ姿を浮かべると、自然と楽しい気分になってくるものです。
その点でいうと、恋はギブ視点の究極形でもあるのではないでしょうか。
かつてのルミネの広告に、「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」という有名なコピーがありますが、これは、コート一枚選ぶのにも、ただ機能や自分の好みを探しているのではなく、“このコートを着た私は、彼の目にどう映るか?”という自分以外の人の視点で買い物をする心情をうたっている。恋によるギブ視点のフォーカスの仕組みをよく表したコピーです。
不安がある=新しいことが生まれるチャンス
“あの人にギブする”という視点で世の中を見ると、楽しさが増え、不安になる時間が減っていきます。なぜなら、人は自分や自分の関心ごとではなく、誰かの関心ごとに気が向くと、自分や自分の身の回り対して鈍感になれるからです。つまりギブする視点を通して視野が拡張されていくだけではなく、「鈍感力」が増すことで、不安感から身を守りやすくなれるのだと思います。
これは「そもそも自分の検索ワードなんて見つからない!」という人にもおすすめです。両親でも、友達でも、考えるだけで楽しくなる“あの人”の視点を、ぜひ検索ワードに取り入れてみてはいかがでしょうか。
社会の不安がいや増す時期というのは、同時に新しいことが生まれるチャンスです。しかしそう思える自分でいられるためには、いかに自分のメンタルセットを切り替えるかが、腕の見せ所でもあるのです。
放っておくとネガティブになりがちな人間の性質を踏まえ、自分が望むほうへ、脳みそがいくようにうまくハックしてきましょう。
連載:ポストAI時代のワークスタイル
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