起業の“死の谷”を超えるには?
そのことも踏まえて、起業の“死の谷”を超えて成功する人の共通点は何か? それは、あきらめないことだと思う。とにかく、しつこくてあきらめない、というのが成功した人の共通点だ。
私は過去に6000人以上の起業家、経営者と会ってきた。そのほとんどが社長になったり、IPOを達成したりした成功者だ。そして、そのほとんどが、粘り強く、しつこくあきらめない人であった。飽きっぽい人ももちろんいる。しかし、少なくとも方法論については飽きっぽくても、成功に対する執念に関しては並々ならぬものがある。
最近、インターステラテクノロジズ社が国内では民間初となるロケットの宇宙到達を達成した。同社の稲川貴大社長やそのサポーターの皆さん、同社ファウンダーの“ホリエモン”こと堀江貴文さんも、あきらめることのない、粘り強い経営者の代表格だろう。
ロケットを宇宙に到達させることは、素人が考える以上に難易度が高い。私も専門的な点についてよくわかっているわけではないが、10m強の長さのロケットの中でマイナス数百度の液体酸素と数千度になるロケット噴射をコントロールする、と聞いただけで途方もないことがわかる。
また世界で民間ロケットが宇宙に到達したのは4社しかなく、残りの3社のうち2社はテスラのイーロン・マスクCEOとアマゾンのジェフ・ベゾスCEOの会社である。知名度や資金力に圧倒的な差のある北海道の小さな会社がそのような偉業を達成するのは痛快ではないか。それを達成するに当たって、壮絶なまでの「あきらめない精神」があったことも彼らの側で応援していてはっきりとわかった。
「Forbes JAPAN」も5周年おめでとう。新しいジャーナリズムの形として、大きく羽ばたいてほしい。
ふじの・ひでと◎レオス・キャピタルワークス代表取締役社長。東証アカデミーフェローを務める傍ら、明治大学のベンチャーファイナンス論講師として教壇に立つ。著書に『ヤンキーの虎─新・ジモト経済の支配者たち』(東洋経済新報社刊)など。
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