世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

佐渡島庸平

佐渡島庸平氏。講談社で多くのメガヒット作品を担当した伝説の編集者だ。中でも『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』などはここから生き方に影響を受けたという読者も少なくない名作で、アニメ化や映画化でも話題を呼んだ。

そして退職後は「生み出した作品を世界に運び、後世の人も読めるよう残すために(ワインにとってのコルクのような存在に)」と、国内出版業界の従来文化では新しい「作家エージェント」を立ち上げた。


Forbes JAPANでは、9月25日発売の本誌で、「WHO IS THE TRUE INFLUENCER?」(真のインフルエンサーとは何だ?)と銘打ち、トップインフルエンサー50人を選出。

彼ら、彼女らの言葉やアドバイザリーボードたちの論考から、インフルエンサーなる現象を多角的に描く。



「コルク」経営者として情報化時代における文化発信の新たなモデル構築に取り組むかたわら、編集者としても多くの作品に関わる佐渡島氏に、「インフルエンサー」なる現象と、彼らを取り巻く現在の情報社会、その行き先について聞いた。


「偶然」に「本質」が負ける不可思議な土俵

「僕はコルクの若手アーティストに、本質的な技術鍛錬とSNS攻略の両方をと言っています」。それは、自分を充実させてさえいれば結果がついてきたかつてとは違い、SNSを攻略しないと「勝てない」時代だから、という。



もちろん、SNS攻略とファン収集に終始し、自らが成長しない人は論外だ。佐渡島氏は「偶然の佳作と本質的な佳作が玉石混交に存在するのがネット空間」と言い、SNS上で「勝っている」人の中には、本質を見ない、単なる「SNSハッカー」も多く紛れ込んでいると指摘する。

「プロとアマが同じ文脈で勝負している土俵がSNSです。そこでは現状、プロが『偶然』に負けてしまっていますね。例えばインスタグラムでは、無作為に数多くシャッターを切って撮れた写真の『偶然』の質に、発信者も受信者も期待している。あるいはネット上にばら撒かれた無数の写真から選んで『再現』、再構成することを認め、評価さえしています。

ただ、SNS市場の成熟につれて、プロが享受すべきメリットが戻ってくるかもしれない。人やモノを撮ることの本質を考える人、たとえばプロのカメラマンの復権が起きるかもしれない、とは思っています」。

また佐渡島氏は「プラットフォーム側も猛烈に努力はしている」と前置きした上で、「今はプラットフォームが本質的でないことを促してしまっている」との警鐘も鳴らす。「ネット空間で人はとかく『部分だけを見て』しゃべるが、プラットフォーム側のインセンティブ設計に踊らされないことは重要。あくまでも『何かの足しになるか』考えてから発信するべきです」。

ツイッターのリツイートボタンを開発したクリス・ウェザレルが、最近メディアで「後悔している」と打ち明けたのも、本物の情報か確認しないでリツイートする「暴徒」が絶えないためだ。「流通している情報が断片的なうちは、リツイートを含む発信を控え、情報収集に徹するのが賢明です」。

文=石井節子 写真=小田駿一

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