「カッコいい」は体感を通してインフルエンスする
「Timebank(タイムバンク)」を聞いたことがあるだろうか。「格安で商品やサービスを購入することができる」というというアプリでありサービスだが、ここではツイッター、フェイスブック、ユーチューブ、インスタグラムのアカウントと連携し、オンライン上の影響力の「偏差値」を算出しスコア化している。ところがその「SNSスコア」では、インフルエンサーたるアイドルやクリエイターに影響を及ぼす「プロデューサーたち」のスコアも高く出るのだというのだ。
「自身のフォロワーは少なくても、プロデューサーは『むちゃくちゃインフルエンスがある人たちからフォローされている』、インフルエンサーをインフルエンスする人たちであるために、『SNSスコア』は彼らをもインフルエンサーと評価するんですよね。タイムバンクのこのアルゴリズムは非常におもしろいと思います」
そんな佐渡島氏にとってのトップインフルエンサーはズバリ、平野啓一郎氏という。
平野氏はたとえば著書『「カッコいい」とは何か』で、「凡そ、『カッコいい』という価値観と無関係に生きている人間は、今日、一人もいない」と書き、「カッコいい」ことがわれわれに与える強い影響について指摘する。
インフルエンサーという人たちはまさに、かっこいいと思われる人たちだと思う、と佐渡島氏もいう。「そういう新しい概念をどんどん見出していく平野啓一郎さんは、まさにインフルエンサーですね」。
人生の「夢」にするなら心すべきこと
「小学生白書Web版」は学研教育総合研究所(学研ホールディングス)が全国の小学生本人による回答をまとめた調査だが、2017年、この中の「なりたい職業ランキング」で、それまで圏外だった「ユーチューバーなどのネット配信者」が4位に初ランクインした。さらに翌2018年には3位に浮上し、「ユーチューバー」は子供が憧れる「職業」として認知されるにいたっている。
「たしかに今の時代を生きる子供たちにとって、ユーチューバーを始めとするインフルエンサーはもう、一つの『夢』みたいになっている。それは生き方の多様化とも言えるかもしれないけれど、フォローしてくれている人たちに行動変容をさせない、フォロワーが多いだけのユーチューバーになることを目標にした生き方はしてほしくないですね」