女性起業家ならではの課題は、どう乗り越えればいいのか


Power Solutions:Tonya Hicks
米ジョージア州アトランタから初参加したTonya Hicksは、電気工事や施設メンテナンスのPower Solutionsを19年前に創業。現在でもCEOとして率いるが、「そもそも女性の起業家は少なく、建築業になるとさらに少ない」という。米国で建築業に女性経営者が占める企業の数は5%程度。

DWENで一番役に立ったのは法務のアドバイス。「別の事業を子会社にするかどうか迷っていたが、どうすれば良いか有効なアドバイスがもらえた。シンガポールまではるばる来た甲斐があった。航空券代の元は取った」と豪快に笑った。

isahit:Isabelle Mashola
フランスから参加したIsabelle Masholaは社会起業家を名乗る。エンジニアとしてCiscoなどIT企業に勤務した後、isahitを立ち上げた。アフリカなどの発展途上の国の女性にデータ入力などのタスクをアウトソースするというクラウドソーシングプラットフォームが事業内容だ。

移民はフランスでは大きな問題だが、アフリカを旅行してみて「アフリカの人たちはフランスに来たいから来ているのではなく、地元に仕事がないから」と実感した。インターネットとデバイスがあれば、自分の国にいながら収入が得られる。その中でも女性にフォーカスする理由は、貧困状態にある20億人のうち7割が女性だから。自分自身がエンジニアとして働いた後、デジタルスキルは貧困から抜け出す一歩になると信じる。isahitでは、売り上げの5%を彼女たちの教育支援に当てている。

「キャリアを経た後、次は人のため、社会のためになることをやりたいと思った」とMashola。現在、フランス語、英語、アラブ語に対応し、プロジェクト数は530件以上を数える。1100人以上に仕事を依頼している。

欧州でもITは男性が多い。唯一の女性だったミーティングでコーヒーを入れてと言われ、コーヒーマシンの場所を教えたこともある。現在でも、投資家にアイデアを説明する場面で「自分がプレゼンしているのに、質問になると隣にいる共同創業者(男性)に話しかける」。あるいは、自分が話をしているのに聞いてくれない時も。そんな時は「一旦話すのをやめて黙る」とMashola──フランスが誇る女性政治家で国際通貨基金専務理事のChristine Lagardeがそうするのを聞いたからだ。

「年をとり、怒りや不公平感を別の形で表現できるようになった」とMashola。雇われていた時とは違う新たな挑戦を楽しんでいる。


isahitを立ち上げたIsabelle Mashola

女性起業家の成長を10年見てきたDellのQuintosは、これまではビューティなど分野が限定的だったがハイテクを始め業界が広がってきたことなどの進化を感じる一方で、まだまだ潜在性をフルに発揮できていないと指摘する。

「WE Cities Indexは50都市全てがポイントをアップさせた。1位のサンフランシスコですら、100点満点中63ポイント。まだまだ改善できる」(Quintos)。

文・写真=末岡洋子

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