電力危機に見舞われる南アフリカでは、送電網が電力需要を支えきれなくなる事態を防ぐため何度も計画停電が起きている。国営電力会社のエスコムは毎日の電力需要を満たせず、現在緊急の経済援助を必要としている。電気の代替エネルギー源となり、南アフリカの石炭依存を緩和できる廃棄物発電は、果たして好ましい選択肢なのだろうか──?
アフリカで炭素管理サービスを提供するクライメット・ニュートラル・グループ(Climate Neutral Group)は「地方自治体のごみ埋め立て地は目障りなだけでなく、大量のメタンガスを発生させ、深刻な環境・健康上の危険をもたらす」と述べている。同社のプロジェクトは、ヨハネスブルクの5つのごみ埋め立て地から出るメタンを集めて電気に変換し、南アフリカが現在直面する2つの深刻な問題を解決するものだ。
同社が生産を見込んでいる電力は19メガワットで、1万6500世帯に電力を供給することができ、同国では最大のプロジェクトとなる。
アフリカ大陸では、6億人が電気を利用できない状態にある。アフリカの経済は今後毎年約10%の成長を続け、一方で人口は2050年までに現在の約11億人から約20億人に増えると見積もられている。アフリカの人々が出す廃棄物は増える一方、より多くのエネルギーが必要になる。廃棄物発電を価値ある選択として追求できれば、アフリカだけでなく他の発展途上地域を立て直すことができる。
ゴミを電気に変える廃棄物発電
廃棄物発電は、バイオマス発電の一形態だ。日々のゴミは、電気や熱を生む原料として活用される。他の選択肢としては、廃棄物が埋め立て地にもたらされその後焼却処分されるか、リサイクルされるかだ。
独調査会社スタティスタ(Statista)によると、米国では2015年、約2億6200万トンもの都市廃棄物が出されていた。また、米国には約75カ所のバイオマス発電所があり、2017年は約334兆BTU(英国熱量単位)のエネルギーがバイオマスエネルギーの消費から得られたものだった。廃棄物発電の市場は2024年、430億ドル(約4兆5700億円)に到達することが予測されている。
米エネルギー情報局(EIA)は「都市廃棄物を燃やすことで、廃棄物の量を約87%減らすことができる」と指摘している。米環境保護局(EPA)はさらに、こうした施設を使用すれば廃棄物を1トン燃やすごとに温室効果ガス排出量が1トン減ると見積もっている。