電力ニーズとゴミ処理という2つの問題
確かに、廃棄物発電所は米国でこれまでなかなか普及してこなかった。理由は、廃棄物をエネルギーに変換するプロセスが非常に不潔なものであることだ。また、廃棄物はリサイクルする方がコストが少なく済むと考える人もいる。廃棄物を電力に変えるコストは、競合する技術に比べて高価なのだ。
しかし欧州には、420ほどの廃棄物発電所がある。中国もこの分野に積極的に取り組んでおり、339カ所の発電所で7300メガワットの電気を生産している。さらに来年には、発電所の数は600、電気生産量は1万メガワットまで成長することが見込まれている。
世界経済が加速的な成長を遂げる中、アフリカではより多くのエネルギーと、埋め立てられる廃棄物を減らす方法が必要とされている。世界銀行は中国の廃棄物が2025年までに現在の倍の5億トンに達すると予想しており、同国にとって「廃棄物ゼロ」の都市を作ることは急務だ。
また化石燃料の使用を減らし、より環境に優しいエネルギー源を活用することも必要とされている。発展途上国では、これ以上埋め立て地の拡大を続けるのに十分な土地がない。また、こうした埋め立て地で発生した有害な汚染物質が土壌に溶け込む可能性があり、分解物質から出るガスは、強力なメタンの排出源となるだろう。
アフリカに関しては、投資の見通しは増えており、開かれた国境や起業家活動、協力的な規制制度が確約されている。あらゆる種類のクリーンエネルギーをアフリカにもたらすことが優先事項で、それによって経済開発が促され生活が改善する。また、ゼネラル・エレクトリックやABB、アルストム、シーメンス、シュナイダーエレクトリックといった企業が関心を寄せているという朗報もある。
ビジネス・レビュー・アフリカ(Business Review Africa)のチーフエグゼクティブ、ヘレン・オコン・エクペンヨンは「アフリカ大陸は成長する人口・産業のため、クリーンで安価なエネルギーを供給することに注力すべきだ」と述べた。
「廃棄物発電は、アフリカの経済に大変革をもたらす可能性がある。アフリカの人口増加が廃棄物の増加と直接比例していることも重要だ。持続可能な高レベルの経済成長を達成するため、アフリカのリーダーはさらに戦略的にならなければならない」(エクペンヨン)
アフリカは世界経済の中で活気に満ちた場所になろうとしているが、持続可能なエネルギーのニーズはいまだに満たされていない。これは、実現すれば同大陸中に新たな息吹を吹き込むものだ。アフリカや世界の未来を示しているかもしれない廃棄物発電は今、南アフリカで前進を遂げている。