コークッキング代表取締役CEOの川越一磨は、そんな思いからフードシェアリングサービス「TABETE」をスタートさせた。
Forbes JAPANでは、そんなフードロスの問題に挑む川越を、「世界を変える30歳未満の30人」を表彰する30 UNDER 30 JAPAN 2019フード部門のひとりとして選出した。
経済大国となった日本では、飽食の時代が続いて久しい。飲食店やスーパーでは毎日のように食材が大量廃棄されていることは周知の事実だが、日常生活の中で意識することは少ない。「もったいない」という言葉を持つ日本人、本当にこのままでいいのだろうか。
川越が目指すのは、「限りなくフードロスの少ない、新しい食のサプライチェーンを構築すること」だという。一体どういうことなのだろうか。
食料自給率が低いのに食品を大量廃棄している国、日本
日本は、食料を輸入しまくっているのに、一方で捨てまくっている──。
フードシェアリングサービス「TABETE」を運営するコークッキング代表の川越一磨は、この問題意識がすべての行動の根幹にある。
日本の食料自給率の低さは以前から問題となっていた。データでみると、日本人はカロリーベースで38%しか、国産の食品を食べていない。足りない分はすべて輸入しているわけだ。
にもかかわらず、日本は年間634万トンのフードロスを生み出しているといわれている。これは日本の米の年間生産量800万トンに迫る数字だ。川越はこう語る。
「この634万トンには農業生産者などが廃棄している一次産業のフードロスは含まれていません。一次産業の廃棄量は正確には分かりませんが、一説には年間1500万トンとも言われています。つまり、日本は2000万トン以上の食べ物を毎年廃棄している可能性があるのです」
日本は人口減少社会に突入しているが、全世界的に見れば人口は爆発的な勢いで増加している。国連による推計では、1950年には25億人だった世界人口は98年に60億人を超え、2019年は77億人、50年には100億人に迫るという。そんな中、食料問題は避けて通れず、いずれ奪い合う時代に突入するものと見られている。